佐賀北vs伊万里商
伊東(佐賀北)
得意のスローカーブでカウントを稼ぎ、120キロ台の速球で5番前田潤を詰まらせ遊飛、続く6番井手勇も同じく詰まった当たりの三塁ゴロでダブルプレーに打ち取りピンチを凌ぎ、試合を決定づけた。
「継投も考えていたが、伊東が良く投げてくれた」と百崎監督。
伊東も「カウントを取りにいった球が甘く入った」とピンチを迎えた場面を反省するも、
「いつも終盤にピンチを招いて降板していた。初めて一人で9回を投げ抜いたことは自信になった」
伊万里商
1年時から期待の左腕だった。だが、ヒジの故障もありベンチ入りしたのは3年生になってから。
それも控え投手からのスタートだった。
「スピードを求めて本格派を目指していた」と百崎監督がいうように春先まで、速球で押す投球スタイルだった。
そのスタイルを変えるきっかけが、4月上旬の練習試合だった。
1イニングに8失点。直球で押す投球が全く通用しなかった。「投手として終わったと思った」と伊東航希はその時を振り返る。
「初めて自分から『投球をおしえてくれ』と言いにきた」とこの試合後に指揮官に教えを請う。
そこか二人三脚でフォームを改造。一本調子だった投球フォームにタメをつくるため、右足を上げた時に一度打者に背中を向け、リリース時のヒジの位置を下げた。
「120キロの球を140キロに見せろ」緩急の重要性を説いたという。
するとフォームを変えた直後の佐賀市長旗では強豪佐賀商を9回まで零封。NHK杯でも唐津商を押さえ込む。
「唐津商戦で抑えられたことで自信がもてるようになった」と伊東。
最後の夏を前にどん底からつかんだ自信とともにエースナンバーも手にした。
4年ぶりの聖地へむけて好発進をきった佐賀北。
「次も打たせてとる自分の投球をしたい」と伊東は、自信とともにつかんだ新たな投球スタイルで次戦へ全精力を注ぐ。
(文=藤吉ミチオ)