財部vs古仁屋
村田(財部)
2004年以来の夏の勝利
3点差のリードで迎えた9回、財部は2死二、三塁というピンチを招くとベンチから大きな声が聞こえてきた。
「野球は甘くないぞ!」
財部の田中サミュエル監督である。メガホンを持って、時には厳しく、時には面白く、大きな声を張りあげナインに伝える姿は、試合の中で終始みられた光景だった。
そんな田中監督の魂がこもった声に応えようと財部ナインはグラウンドで躍動した。3失策というミスがあるなど、すべてにおいて決してスマートにこなせていないかも知れないが、時折みせる球際に強い守備、しっかりとミートする打撃と最後の最後まで必死に戦い抜く姿は、みていてなんともいえない心地よさが感じられた。
そんな財部も、今春までは部員不足のため、一時は大会出場も危ぶまれていた。しかし、なんとか大会に出場しようと部員を集め、11人というメンバーで2004年以来の夏の勝利をものにしたのだ。
そして慣れない校歌を歌うナインをみつめながら田中監督も思わずベンチ前から校歌を歌う姿がみられた。
11人という限られたメンバーで、監督と部員が一つになって戦う鹿児島県立財部高校野球部。
本当に温かみのあるいいチームだ。
(文=編集部:アストロ)