石見智翠館vs八頭
前田(石見智翠館)
記念すべき開幕ゲームを飾った石見智翠館
かつては、島根、鳥取、両県のチームが夏の甲子園を懸けて火花を散らした山陰大会。
だが、昭和34年から東中国大会(鳥取、岡山)と西中国大会(島根、山口)に分かれて夏の代表を争うようになってからは山陰地区に位置する両県同士だけで行われる大会がなくなった。
しかし、そんな歴史に加え、地理的にも交流の多い山陰地区のレベル向上の意味などを込め、昭和37年に全山陰選抜高校野球試合という名称で開催され、以後、大会名称を現在の大会名に変更し、今年で50回目という大きな節目を迎えた。
大会参加チームは両県の春季大会で準決勝に進出した8チーム。開幕のカードは、島根県の優勝校・石見智翠館と鳥取大会準決勝で優勝した鳥取西に延長10回で惜しくもサヨナラ負けを喫した八頭というカードとなった。
前日から降り続いた雨の影響もあったが、球場関係者を始め、今大会へ参加した各校の部員などの懸命なグラウンド整備があって試合予定時刻から約1時間半遅れで試合が始まった。
試合が動いたのは4回裏。石見智翠館は、この回、先頭の3番・金森翔大が左方向へ二塁打で出塁すると、四球を挟み、1死満塁。ここで7番・加藤大と8番・前田浩希が連続適時打を放った。
さらに1番・富山大志が中越えの3点適時二塁打を放ち、この回だけで一挙5点というビッグイニングを作った。
6回、7回にも追加点を奪い、7回コールドで石見智翠館が準決勝進出を決めた。
「今日は、フライアウトが少なく、低い打球を打とうとする意識がよかった」という石見智翠館の末光章朗監督。
7回を被安打3、3回の3連続を含む計7つの奪三振をマークし、完封勝利をあげたエース・前田浩希についても「立ち上がりがいまいちだったですけど、3回から真っ直ぐを多めにして、根気よく低めを突けていました。三振を多く取るピッチャーではないんですが、結果的に三振が多かったことは内容がよかったということですね」と目を細めた。
投打が噛み合い、開幕戦をコールドで飾った石見智翠館。まずは明日の準決勝だが、夏に向けてチームの状態は整いつつある。
(文=アストロ)