横浜vs南
柳君(横浜)
さすがに横浜、選抜の反省生かし再建順調
前日の雨天中止で日程がずれ込んだ春季神奈川県大会の準々決勝。この日は3試合が予定されていて第一試合は朝9時からということになったのだが、横浜登場ということもあって、早くから多くの人が集まっていた。
神奈川県から2校選出された今年のセンバツでは、東海大相模が全国制覇を果たした一方で、横浜は初戦で波佐見に完敗。
多くの反省材料を抱えて帰ることになった。そのセンバツからのテーマとして、渡辺元智監督は、「攻撃では安定している乙坂、近藤の三四番にどうつないでいくことができるのか。守りでは、例年以上にスキがあるので、どこまで作り切れるか。体づくりが出来ていない段階で試合に使わざるを得なかったこともあって、その無理がたたって故障者も多かった」ということを挙げていた。
しかし、それ以上に投手の柱がいないということも大きい。その象徴的なこととしては、春秋の神奈川県大会は毎試合登録選手届を提出するのだが、この試合ではエースナンバーの1番を欠番として提出していた。
これは、「今の段階では、横浜高校の1番に値する投手がいない」ということでとった措置だということだが、こういう荒療治に応えた形でこの日は10番をつけて先発した柳君が5回を1安打に抑えて完封した。
投球フォームも非常にきれいな投手なのだが、渡辺監督としてはまだまだ不満も多いようで、「フォームがきれいだからこそ、もっと球のキレを磨いていかないと合わせられる」と言う。それが今後への課題でもあり、緩い球をどれだけ上手に使っていくことができるのかということもテーマとなっている。
マウンドに集まる南ナイン
その横浜の攻撃は、初回は3四球で1死満塁とした後、樋口君の右前打で先制し、内野ゴロの間に2点目を追加。3回にはクリーンアップからの攻撃で無死満塁とすると、六番拝﨑君の中前2点タイムリーとバント処理失策などで4点とビッグイニングを作った。
さらに、4回にも近藤君、樋口君、拝﨑君の3連打などで2点を加え、5回も乙坂君のタイムリー打などで3点を追加した。この試合に関して言えば、センバツからの課題となったテーマの攻撃に関しては、かなりきっちりとまとまってきたということはいえそうだ。
圧倒的に私学勢が強い神奈川県だが、この大会に関して言えば公立勢が大健闘でベスト8に半分の4校が残った。そのうちの一つの南だったが、やはり横浜の壁は厚かった。京急の大岡山駅からバスで10分程のところの住宅街にある学校で、地元では「南高(ナンコウ)」と呼ばれて親しまれている市立校だ。
実は、グラウンドは素晴らしく、学校敷地内にスタンド付きの専用球場を有している。かつて。60~70年代にかけては春季県大会を制覇したこともあるし、秋季大会も4度準優勝という実績もある。
久々の躍進に、夏へ向けて期待の膨らんでいるOBや関係者も多いだけに、夏までの2ヵ月、この負けを学習材料として励んでいってもらえることを期待したい。
(文=手束 仁)