市立柏vs二松学舎柏
先発した村上君(市立柏)
市立柏序盤の大量点で、豊富な投手陣が余裕の継投完封
この地区での有力校同士の対戦ということで、好試合を期待したのだが、思わぬワンサイドの試合になってしまった。
近年、毎年のように好投手がいる市立柏は今年も、豊富な投手陣で充実感を示していた。この日も日本ハムなど何球団かのスカウトが訪れていたが、そのチェックリストに入っているのが森君だ。もっとも、福島紀和監督としては夏を見据えて戦う場合には、彼以外にの投手も何人か育てておきたいという思いもあるのだが、この日はその期待を担った村上君が先発して好投した。
序盤で大量点が入ってしまったこともあって、村上君は2回でマウンドを降りたものの、「今日はストレートとスライダーだけで七分から八分の力で丁寧に投げるように指示をした」(福島監督)というとおりに投げて、打者7人に対して、無安打1四球でまずまずの内容だった。ストレートも最速138キロは出るというくらいだから、2年生でもあり今後は140キロ越えも期待できそうな逸材ともいえよう。
注目の森君は、5回の1イニングのみの登板だったが、2者連続三振のあと、失策と内野安打、死球で満塁としてしまったものの、最後は高めのストレートで三振を奪って、その力は十分に見せた。
二番手として投げた西村君は連打と死球で無死満塁としてしまったものの、その後をピシャリと抑えて無失点。遠藤君はしなやかな感じで3人を無難に抑えていた。まさに、余裕の継投での完封劇だった。
それにしても、試合そのものはあまりにも一方的だった。初回の二松学舎柏の角田君の立ち上がりからすれば、こんな試合になろうとは予想できなかったのだが…。
注目の森君(市立柏)
市立柏は2回に1死後梅田君以下、九番村上君の二塁打を含む4連打で3点を先取。
3回には先頭の三番瀬能君が左中間二塁打で出ると、船越君がつないで無死二三塁から、宇佐見君が右翼へ3ランを放った。
これで勢いづいた市立柏はこの回、打者8人が連続でアウトにならず、結局打者13人で8安打2四球などで大量8点のビッグイニングとした。
これで、試合そのものの行方はほぼ決した。市立柏は4回にもさらに2点追加したが、昨秋からメンバーの入れ替わりも何人かあったが、それぞれが与えられた場面でアピールしていた。
福島監督にとっても、会心の勝利だったようだ。「秋から、メンバーが入れ替わっているところもいくつかあるのですが、これは定まっていないのではなくて、底上げができたからなんです」と、順調な仕上がりぶりを感じていた。
指揮官としては、今春は地元で開催される関東大会に出場して、夏までに一つの自信を得たいという期待もあるようだ。
今春から、これまでの二松学舎沼南から校名変更した二松学舎柏は、かつて90年代には、何度も甲子園に手の届きかかった時代もあったが、この日の試合ではその面影はなかった。何かのきっかけで、一気に崩れていってしまう脆さを露呈してしまった。先発角田君が宇佐見君に浴びた3ランがあまりにも大きすぎた。
(文=手束 仁)