阿波vs美馬商
細川直人投手(美馬商)
正部員7人美馬商、大健闘の7回コールド負け
結果は阿波の7対0で7回コールド勝ち。ただしこの試合における主人公は間違いなく少林寺拳法部とボランティア部から助っ人を借りて9人ギリギリで戦い敗れた美馬商であった。先月の県新人西部ブロック大会では同じ阿波に1対14で7回コールド負け。今夏県大会では1回戦で辻に0対18で5回コールド負け。6月の県総体協賛ブロック大会でも阿波に0対16で7回コールド負けを喫していた彼らにとって、序盤に守備の乱れから5点を失ったものの、その後は細川直人(2年)が踏ん張っての7点差負けは善戦以外の何ものでもない。
その秘訣は夏休み中の練習にあった。種盛浩士監督はこう語る。「夏休みはいつも阿波西や名西と合同練習をしているのですが、そこで目的を持って練習ができたことで『またか』というミスがなくなってきたことがよかったと思います」。
主将の藤村直輝二塁手(2年)も「3校合わせると毎週試合ができるので、実戦での守備を学べることができた」とその効果を強調。
昨秋、今春は正部員が4人だけだったため県大会参加すら叶わなかった美馬商にとって、試合の中で野球を学ぼうとする懸命な姿勢は一種の爽やかさすら感じるものだった。
最後に「前より守備は堅くはなったが、まだ判断の部分が甘いのでそれを修正していきたい」と、これから迎える冬練習への課題を述べた美馬商・藤村主将。レベルの過多はあれども、選手たちが、そして一歩ずつでも成長している姿を試合の中で感じ取れること。それも高校野球の面白さであり、私たちが高校野球に惹かれる理由である。
(文=寺下 友徳)