岐山vs岐阜工
野々村高.(岐山)
「躍進岐山」チームの雰囲気良く白星発進
今年の岐山は強いと評判だ。野球に関してはしばらく目立った実績のない公立校であるが、今年は例年になくメンバーが揃っていると専らの噂であった。
この日先発のマウンドに上がったのは2年生の野々村高志。181センチの長身であるが、打たせて取るピッチングを展開。9安打を浴びたものの2失点に抑え、完投勝利を収めた。左足を踏みこんでもまだ腕が後ろにあり、フォームに粘りがあるのがいい。
本人によると、昨秋に計測したストレートの最速は135キロ。「ストレートで空振りが取れるようなピッチャーに」とは本人の理想像だが、この日は変化球をうまく投げ込んでくる印象も受けた。
昨秋の県大会後にヒジを故障して、本格的に投球を再開したのは5月からだという。「9イニングを投げたのは久しぶりです」と清々しい表情を見せた。囲み取材中、通りがかった監督から冗談交じりに「2点も取られてインタビューかよ~!」と茶々を入れられるシーンもあったが、それだけチームの雰囲気も良いということ。
打線は相手のエラーなどにつけ込み、チャンスでヒットを放った。守備では、小柄ながら強肩の捕手平光進太郎が目立った。学校の合言葉である「躍進岐山」の幕開けを思わせる今夏の発進だ。
対する岐阜工。先発のサイドスロー加藤貴大は、練習試合で東海大相模(神奈川)を4安打に抑えた安定感が持ち味だったが、この日は波に乗れず6失点を許した。荻田重睦監督は「こんな投球はほとんど無かったんですが・・・。彼の悪い時が出てしまった」と首をかしげる。それでも、右腕に死球を受けてもマウンドに上がるなど根性を見せた加藤を、監督は「よく投げた方だと思います」とねぎらった。
岐阜工はサッカーやラグビーなどの部活動も盛ん。野球部も練習時間が長く、毎年選手の粒はそろっているのに、なかなか勝ちきれない。監督は今日の試合を振り返りつつ、「ここ一番の集中力がない。子どもたちが集中力(の持続)を苦手としている。今日も集中力のないプレーが随所に出てしまった。大舞台にのまれてしまった面もあるが、きちっと守れば何でもないのに、安易なプレーをしてしまう。試合序盤での落球が失点につながってしまいましたが、春の地区大会でも同じようなことがあった」と、集中力・精度がこの1年課題であったと明かした。
それでも岐阜工は、打撃でのリストワークが光り強肩の富田大介、右半身をとめてスイングができ重厚で長打力のありそうな白石達之介(左打者)、守備範囲が広く監督も「よく動いていて声も出ていた」と認めた田中凌二の、クリーンナップ2年生トリオが来年も残る。
そして、ブルペンで投げていた187センチの長身2年生・背番号10の田内一輝は、ひょっとしたら秋以降、岐阜の目玉になる可能性を秘めた投手。角度があるのはもちろん、ミットを下から上と突き上げるような素晴らしいストレートを投げていた。腰をしっかり折って投げる分、体への負担が少なくない気もするが、そこは体をつくりながら、130キロ台後半のストレートにさらに磨きをかけ、実戦でも活躍してほしい。
(文=尾関 雄一朗)
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岐山 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 3 | 1 | 0 | 0 | 6 | ||||||
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岐阜工 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 2 |
岐山:野々村高-平光 岐阜工:加藤-岩田