センバツで94回連続中の「近畿勢公立校選出」、果たして今年は?
藤井竜之介(社)、仲井颯太(高田商)、野下陽祐(彦根総合)
いよいよ、センバツ出場校発表が近づいてきた。2023年第95回センバツ記念大会の出場校は36校で、27日に発表が予定されている。過去の出場校決定には数々のドラマが生まれ、球児の涙と歓喜が見られた。今年はどんなドラマが待っているのだろうか。94回の出場校発表にまつわる歴史をかいつまんで紹介したい。
実は94回連続で続いていることがある。それは近畿勢から、必ず毎回公立校が選出されていることだ。第1回大会では市岡中(現市岡=大阪)、和歌山中(現桐蔭=和歌山)が選ばれ、前回の第94回大会では和歌山東、市立和歌山と、和歌山から2校の公立が選出された。この間、21世紀枠も含めて近畿地区から公立校が選ばれなかった大会は1度もない。
戦前から戦後まもなくの時期は公立が強かったこともあり、珍しいことではなかったが、近年では近畿のレベルが上がって、私立の台頭が目覚ましい。大阪桐蔭、智辯和歌山、近江、智辯学園、神戸国際大附、京都国際など、各県ともに全国区となっている私立が多い。そのなかで、脈々と「近畿公立校」の出場は受け継がれてきた。
1大会で近畿公立校1校だけというのはこれまで16度あった。そのうち、和歌山県勢が5校、奈良県勢が5校を占めている。
16度中、2000年以降では10度もあり、ここ20年余りはなんとかしのいできたという印象だ。第82回大会の向陽(和歌山)、第86回大会の海南(和歌山)、第87回大会の桐蔭(和歌山)は、いずれも21世紀枠だった。
今年はどうなのか。昨年の秋季近畿大会で4強に進んだのは大阪桐蔭(大阪)、報徳学園(兵庫)、龍谷大平安(京都)、智辯和歌山(和歌山)といずれも私立校で、選出は、ほぼ確実とみられる。
記念大会で全体は増枠にはなったが近畿地区は例年通りの6枠しかない。残り2校の選考となるわけだが、8強だった公立校は、社(兵庫)と奈良高田商(奈良)。しかし、準々決勝ではいずれも完封負けを喫し、社はコールド負けだった。
優勝した大阪桐蔭に4対9で敗れた彦根総合(滋賀)、準優勝した報徳学園に6対9と食い下がった履正社(大阪)の2校がリードしていると思われ、この一般枠に入るのはハードルが高い。そう思っていたが、昨年秋の明治神宮大会で大阪桐蔭が優勝を収めて「神宮大会枠」が転がり込んできた。
このプラス1枠で公立校が選ばれるのか。社なのか奈良高田商か。それとも、近畿大会初戦で敗れた公立校の海南、乙訓(京都)、瀬田工(滋賀)から選出される「サプライズ」があるのか。ちなみに第89回大会では近畿地区から奈良高田商(奈良)が唯一公立校として選出されたが、前年に履正社が明治神宮大会で優勝してつかんだ「神宮大会枠」が近畿地区にもたらされていた。
21世紀枠の近畿地区推薦校は兵庫県立の小野。こちらも公立だけにチャンスは残されている。
第1回から続く95回大会連続の近畿からの公立校選出は実現するのか。近畿地区および21世紀枠の発表から目が離せない。