腰椎を反らせる動作は避けよう
膝を伸ばした状態でのレッグレイズは腰を反らせやすいので注意しよう(図1)
選手の皆さんは以前、腰を痛めたことがあったり、今現在も腰に不安を抱えていたりすることがあるかもしれません。成長期によくみられるスポーツ傷害の一つに腰椎分離症が挙げられますが、一度このようなケガを経験してしまうと、腰を反らす動作にはやや不安が残ることと思います。一方で体幹トレーニングやストレッチの場面など、知らず知らずのうちに腰椎を反らせるような動作を強いられるものもあります。特に腰背部に不安のある選手はこのような動作を行うと、腰痛が再発しやすいため注意が必要です。
●足を伸ばして行うレッグレイズ
腰椎の伸展(腰を反らせる動作)を引き起こしてしまう代表的な一例が膝を伸ばして行うレッグレイズです。レッグレイズは上半身を固定して足を上下に動かす体幹トレーニングの一つで、主に下腹部により大きな刺激が加わりますが、特にパートナーなどが足を思い切り前方へ押し出すようなサポートを行ってしまうと、腰椎の伸展を強いられるようになり、腰痛の原因ともなります。レッグレイズを行う時は足を伸ばしきるのではなく、膝を曲げて太ももを胸に近づけ、そこから膝を伸ばしながら地面と平行に足を伸ばしていくようにすると、腸腰筋をはじめとした下腹部を中心に鍛えることができます(図1)。
大腿四頭筋のストレッチは横向きで行うと腰椎の過伸展を防ぐことができる(図2)
●大腿四頭筋のストレッチ
太もも前面にある大腿四頭筋のストレッチにもいくつか種類がありますが、正座のように両足を曲げたところから体を後ろに倒してしまうストレッチは腰椎の伸展を強いられることになります。座って行う際には体を起こした状態で片方ずつ行ったり、横向きになって、伸ばしたい側の足首をお尻に近づけるように手でサポートしながら大腿四頭筋を伸ばすようにすると、腰椎への負担が少なくなります(図2)。
腰を反らせる動作は意外といろんな場面で起こるため、他の動作で代用できる場合にはそちらを選択するようにしましょう。また腰椎の安定性を高めるためにも体幹部の特に深層筋群(腹横筋、内腹斜筋、多裂筋など)を強化することもあわせて行うようにすると、ケガの再発予防だけではなくパフォーマンスの向上も期待できます。普段行っているトレーニングやストレッチがケガを腰を反らせる動作につながっていないかどうかは、ぜひ確認しておきましょう。
文:西村 典子
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