肩がまわらないときは首をチェック
首の動きは肩の挙げやすさにも関係する。普段から首のストレッチも行おう。
練習や試合の時に「肩がまわりにくい・・・」と感じることはありませんか。体のことについて興味を持つようになると、肩甲骨の動きを改善したり、肩周辺部のストレッチをしたりとセルフコンディショニングを行ってから技術練習に入る選手も少なくないと思います。ここでもう一つ意識して欲しいことが首周りのコンディショニングです。
現代は日常生活の中でスマホをのぞき込む場面が増えてきています。それだけでも首の動きや頸椎の形状に変化が現れ、背中が丸まったり、肩関節についている上腕骨が前方寄りになってしまったりという体の変化が指摘されていますが、それに加えて首の筋肉は頭を支えるために常に緊張を強いられていることを理解しておきましょう。また投球動作では、肩がうまく上がらないとどうしても肩をすくめてムリヤリ腕を挙げようとする傾向があり(シュラッグ動作)、ここでも肩上方から首にかけての筋肉が常に使われ続けて、緊張している状態になります。
意外と酷使されている首周辺部の筋肉ですが、これもまた他の部位と同様にストレッチを行うようにしてみましょう。首のストレッチは6方向を意識して行います。
1)頭を前に倒して、首の後ろを伸ばす(屈曲)
2)頭を後方に向け、あご下から首の全面を伸ばす(進展)
3)右手で頭を抱えて首を右側に倒し、首の左側を伸ばすようにする(右側屈)
4)左手で頭を抱えて首を左側に倒し、首の右側を伸ばすようにする(左側屈)
5)右向け右の状態を保持する(右回旋)
6)左向け左の状態を保持する(左回旋)
首周辺部のストレッチも他の部位と同様に日課として行うようにすると、首の可動域(動く範囲)の改善が見込めるだけではなく、肩のスムーズな動きにもつながります。また首の可動域が改善されると投球動作だけではなく、バッティングや守備においても良い影響をもたらすことが期待できます。
例えばバッティングの時は相手の方に顔を向けてボールを待つ姿勢を取りますが、首の可動域が狭くなってしまうと両目でしっかりとボールをとらえられずに打ち損じをしてしまう、といったことが考えられます。また守備においても首を左右に動かしたときに見える範囲が異なってしまうと守備範囲にも影響を及ぼします。
首が凝り固まった状態が続くと肩を挙げる動作を始め、さまざまなプレーに影響を及ぼし、さらには猫背など姿勢が崩れる要因にもなります。普段からストレッチをする際には首のストレッチもぜひ取り入れるようにしましょう。
文:西村 典子
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