80歳を超えても現役のグラブ職人。村井英明が語るウイルソングラブに込めた信念とは?
Wilson Glove Story: 03 グラブ職人 村井英明
鹿児島県阿久根市のケイエスケイ社はMLB選手用から国内アマチュア用まで、ウイルソンのグラブ制作を一手に引き受けている。工場を率いる村井 英明の頭の中にずっとあるのが、アマチュア選手に満足してもらえるグラブを作ることだ。80歳を超えてもなお現役の村井が、グラブ作りにかける信念を語る。
- グラブ職人・村井英明のグラブにかける想い
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基本に忠実な捕球を身に着けてもらえれば、エラーを絶対にしない。
逆に基本通り受けているんだけど、エラーをしているとなれば、我々作る側のミスですから、絶対それをさせちゃいけない。メジャーでは1チームに必ず誰かはウイルソンのグラブを使っています。工場にあるメンバー表を見ればすぐに分かるんです。
プロの方に使ってもらうのも名誉なことではありますけど、やはり高校生のことがずっと頭にあります。アメリカには麻生さんという日本人のクラフトマンがおられるんですが、国内では営業や販促担当者がいろいろチームを回って、選手の意見を我々に伝えてくれますね。
それをもとに、新しいグラブの開発を進めているわけです。最初は数知れず失敗ばかりです。成功した数より失敗した数の方が多いです。
夜も寝られない時が何回でもあります。全然意識も何もしていないんですけど、パッと夜中に目が覚めて、「あそこの角度を何ミリ変えたらいいかな」とか「長さを何ミリ短くしようか」とか思うんです。このグラブを使ってくれた選手のコメントで一番うれしかったのは、「ボールが来たらグラブが自然とそのボールに向かっていく」と言われたことです。その時は本当にうれしかったですね。最終的には高校生が安心して使えるものを作るのが目標です。高校生が買って後悔しないように、これを買ってよかったと満足してもらえるものを作っていきたい。常々そういう考えです。
グラブを作るのは自分の天職だと思っています。グラブがすべてだと。それ以外にはいないですね。職人さんならみんなそうでしょう。どんな商品を作っていても、その商品がその人のすべてだと思うんですよ。四六時中寝ても覚めても、そのことしか頭にない、そういうのが僕は職人じゃないかと思います。私もその中の一人でありたいと思っています。
寝ても覚めてもグラブづくりに没頭する。それほどまでにグラブ作りにすべてを懸けるのが、村井の職人としての人生だ。村井の職人魂が詰め込まれたグラブをぜひ体感してもらいたい。
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