2年ぶり夏甲子園、個性あふれる選手の全力プレーに魅了されたい
平松 諒真(宮崎商)
恵まれた体格でなくとも、甲子園で輝ける。
第103回全国高校野球野球選手権大会が2年ぶりに開催されている。12日は雨天中止となったが、すでに2日間の日程が消化して、7校が初戦を突破した。全国地方予選を勝ち抜いたチームが、甲子園という大舞台でそれぞれが輝きを放っている。選手は計り知れない努力を積み重ね、この地でプレーする権利を得た。その中には恵まれた体格ではないが、背番号をもらい、レギュラーを勝ち取った選手もいる。
今年の夏の甲子園大会で、大会前に登録されたメンバーの中で、身長165センチ未満の選手がどれだけいるのだろうかと、調べてみた。
地方予選の決勝戦でスタメン出場した選手を身長の低い順に並べてみた。
【158センチ】
②宮崎商・平松 諒真捕手(3年)右右 打率.353 打順9番
【160センチ】
⑥日本文理・米山 温人遊撃手(3年)右右 打率.368 打順9番
【161センチ】
④前橋育英・井上 陽太二塁手(3年)右右 打率.368 打順9番
④倉敷商・加藤 大将二塁手(3年)右左 打率.143 打順7番
②高川学園・山崎 帆大捕手(3年)右右 打率.462 打順2番=主将
(※丸数字は背番号、打率は地方大会、打順は地方大会決勝戦)
上位5人中、捕手が2人もいた。個人的には身長が低い選手は二遊間が多いイメージがあった。今大会で180センチ以上の背番号2は鹿島学園の高久 塁(183センチ)、専大松戸の加藤 大悟(185センチ)、県岐阜商・高木 翔斗(186センチ)がいるなど、大型捕手が最近のトレンドかなと、勝手に思っていたが考えを改めないといけない。多様性の時代を象徴しているのか、高校生の努力には感服する。
地方大会の打率を見ても、3割以上が4人。レギュラーを取るはずだ。
全選手のなかで、上記の5人も含め165センチ未満の選手は27人もいる。163センチの弘前学院聖愛の松坂 映杜捕手は青森大会で打率.538も残した。日大東北の162センチ松川 侑矢二塁手は、地方大会決勝戦でこの27人中、唯一クリーンアップの3番を打ち、主将でもある。
鬼塚 陸人(長崎商)
逆に、登録全メンバー中の190センチ以上の選手を調べてみた。
【1】194センチ ⑬長崎商・鬼塚 陸人内野手=6番打者
【2】192センチ ①静岡・高須 大雅投手=5番打者
【3】190センチ ⑦弘前学院聖愛・佐藤 海外野手(主将)=4番打者
⑦石見智翠館・岩村 康成外野手=8番打者
(※丸数字は背番号、打順は地方大会決勝戦)
投打にわたってチームを引っ張る役目を担っている。「右右」「右左」「左左」と投打のパターンが様々な165センチ未満選手と違って、4人全員が「右投げ右打ち」となっている。
北海の背番号13、183センチの熊谷 陽輝(1年)は、大会登録メンバー中、唯一3ケタの体重100キロを引っ提げて甲子園に挑む。
選手それぞれが個性を放ち、自分のプレースタイルで、2度とない夏にチャレンジする姿をこの目に焼き付けたい。
(記事:浦田 由紀夫)