試合レポート

中京学院大中京vs東海大相模

2019.08.17

中京学院大中京が逆転勝利!タレント揃いの中京学院大中京に注目

中京学院大中京vs東海大相模 | 高校野球ドットコム
不後祐将(中京学院大中京) 写真:共同通信

 東海大相模vs中京学院大中京の一戦は中京学院大中京が大逆転勝利を収めた。

 今、振り返れば、東海大相模の投手陣で最もよかったのは1年生左腕・石田隼都だった。182センチの長身から繰り出す常時130キロ~135キロ前後のストレートは角度があり、120キロ前半のスライダー、110キロ後半のチェンジアップを織り交ぜ、5回まで1失点の力投を続けた。一つ間違えれば、大量失点する試合展開だったがピンチになるほど球威のあるストレートでねじ伏せた。5回を投げて93球、5奪三振、1失点の力投。新チームでは1,2年生の投手陣では経験も、球威も、最も優れた投手としてエース格として期待されるだろう。

 3安打を放った主将・井上恵輔は打撃内容が非常には良かった。この試合では1年生左腕・石田隼都を粘り強くリード。ピンチの場面でも石田を励まし、何度も走者を出しても無失点で切り抜け、3回裏、二死二塁から1ボールから甘く入ったスライダーを逃さず、左前適時打で同点に追いつく。

 その後も苦しい状況が続き、6回表には一死満塁のピンチを招いたが、スクイズを見抜いて、三塁走者をアウトにして二死一、三塁。後続を抑えた6回裏、井上はスライダーを振りぬき、[stadium]甲子園[/stadium]第1号を放った。

 井上は打撃の形が非常に良い。スクエアスタンスで構える姿は力みがなく、インサイドアウトに振りぬく、ボールとの距離感がしっかりと取れており、ミスショットがほとんどないのだ。

 スローイングタイム1.80~1.90秒台を計測する強肩も光る。終盤、ミスが出てしまったが、それでも井上の評価は下がることはない。全国レベルの捕手であり、ぜひ次のステージでも飛躍することを期待したい。


 勝利した中京学院大中京。エース・不後祐将東海大相模相手にも、7.1回を投げて7奪三振の好投。本人が「内角に力にあるストレートを投げられた」と語るように、常時130キロ前半のストレート(最速139キロ)は回転数が高く、フォームも粘っこさがあり、なかなかタイミングが取れず、東海大相模の打者が次々と空振りしたり、詰まらされる打球が多かった。もし、井上恵輔の本塁打がでなければ、完封ペースで投げられたのではと思わせるの内容だった。

 捕手・藤田健斗は「ストレートあってこそ変化球なので、内角に強いストレートを投げられたので、外に逃げる変化球をうまく使えました」と速球、変化球のコンビネーションがうまくはまったことが東海大相模打線を抑えることにつながった。

 また、ここまでの戦いは中京学院大中京の正捕手・藤田健斗の活躍が大きい。1回戦の北照戦では、勝ち越しの適時打を放った藤田。第1打席でも中前安打を放ち、第3打席でも右前安打を放つなど、打撃の内容が良い藤田。そして7回表、一死一、三塁の場面で打席が回った藤田はファールで何度も粘りながら、最後は高めに入ったスライダーを逃さず左前適時打を放ち、同点に追いついた。

 藤田はスローイングタイム1.8秒台の強肩を誇る選手だが、5回裏でもチームのピンチを救うプレーがあった。一死二塁の場面で、1番鵜沼魁斗が放った捕手の前に転がったゴロ。普通にとっても間に合わない藤田は掴みに行ったまま、アンダースローで送球。間一髪アウトとなり、この回は無得点で抑えた。

 そして7回表も適時打を放ち、攻守の内容が非常に良い。今大会屈指の捕手に成長したのではないだろうか。

 8回裏からマウンドに登った赤塚健利は豪快な投球を見せた。2回戦の北照戦後、赤塚はこう語った。
「僕は変化球をうまく投げられないので、ほぼ真っすぐです。だから真っすぐが東海大相模相手にどこまで通用するか試したい」と謙虚に語っていたが、東海大相模戦でも変化球はスライダー1球のみ。ただ北照戦と比べてもストレートの勢いはあった。

 193センチの長身を生かして真上から振り下ろす最速148キロのストレートは角度があり、ストレートとわかっていても、東海大相模の打者は顎が上がってしまう。そのため詰まらされる打球がほとんど。2回無失点の好投を見せた。赤塚は「前回よりは良かったです。打たれたヒットも完璧に打たれたものではなく、詰まらされた打球でしたので、ストレートが通用してよかったです」

 こうして、攻守存分に力を発揮した中京学院大中京。次は強敵・作新学院。どんな戦いを見せるのか、注目だ。

(記事=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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