試合レポート

御殿場西vs清水桜が丘

2018.10.07

19残塁ながらも御殿場西が22安打で延長戦を制して27年ぶり優勝

御殿場西vs清水桜が丘 | 高校野球ドットコム
延長11回を投げ切った御殿場西・高田君

 近年の静岡県大会の決勝顔合わせとしては、いくらかフレッシュ感のある顔合わせとなった。

 御殿場西は県東部地区の私立校だが、常葉菊川で全国制覇も果たし、県を代表する有力校に育て上げた森下知幸監督が異動して指揮を執るようになって2年。異動が決まっていた時に常葉菊川が甲子園出場を果たしたということもあって、異動が甲子園終了までずれ込んでいくことにもなり、いささかごたごたした移籍でもあった。それでも、腰を据えて指導をしてしっかりと結果を出してきたのはさすがである。

 また、清水桜が丘はサッカーの強豪校として全国的にも名を馳せた清水市商が新校となって誕生した学校で、かつての清水市が静岡市に吸収合併のような形になったということもあって静岡市立の学校となっている。胸文字が大きく「SHIMIZU」となっているところに、かつての清水市商の歴史を継承して言う匂いが感じられる。

 試合は、御殿場西が22安打、清水桜が丘は7安打と安打数は3倍以上の御殿場西が何とか延長戦で振り切るという展開で、御殿場西は拙攻と言えば拙攻だが清水桜が丘がよく粘って守っていたとも言えようか。

 6回までは完全に御殿場西の流れの試合だった。

 2回に御殿場西は二死から好機を得ると1番夏賀君の中前打で先制。3回にも3番新井君と続く内海君の連打にバントの後、内野ゴロの間に三走が生還して2点目。さらに3点目は6回、夏賀君の中前打が後逸を呼んで、俊足を生かして一気にダイヤモンド一周。こうして、そのまま御殿場西がこのリードを守っていくのではないかと思えるくらいに、左腕高田君も好調で7回まで清水桜が丘打線を4安打散発に抑えていた。

 しかし、野球の試合とはわからないものである。

 8回、突如として高田君が乱れて一死から連続四球。盗塁もあって走者が進み、内野ゴロの間に清水桜が丘は1点を返す。さらに、四球後3番小川君が二塁打して二者が帰りたちまち同点。なおも四球と5番山﨑君の中前打でこの回一気に逆転した。

 それでも、御殿場西も9回に末吉君の犠飛で追いつき、試合は延長戦に突入していく。

 10回、御殿場西が夏賀君以下、阿佐野君、新井君の3連打などでリードして、なおもチャンスを作ったものの、スクイズ併殺などで1点止まり。そしてその裏、粘りを見せた清水桜が丘も1番からの好打順を生かし山澤君が左前打で出ると、暴投などで進んで、高柳君の犠飛でまたまた同点。

 「いつまで続くんだ、この試合終わらないんじゃないか」などと言う声も聞かれ始めたが11回。御殿場西は二死で二塁に四球の走者を置いて1番夏賀君が左翼線へ二塁打して、ついにこれが決勝点となった。夏賀君はこの日は何と7打数6安打。御殿場西は、チームとしても22安を放ったが、長打は11回のこの夏賀君の二塁打のみで、他はすべて単打だった。それにしても、22本もよく打ったものだが、その一方で19残塁にはさすがに森下監督も苦笑だった。それでも、御殿場西に異動して初タイトルということで、安堵したというのは正直なところではないだろうか。

 御殿場西としては27年ぶり2回目の優勝となった。

 左腕の高田君も、11回を投げ切ったが、8回だけが勝負を急いだのか、4四球2安打で44を失ったのは反省事項だろう。それでも、時にズバッと内側をえぐるようなボールは威力があった。

 一方、7安打で5点を奪い食い下がった清水桜が丘。この大会をほぼ投げ切った敦賀君は終盤にいくらか疲労もあったのは否めないだろうが、登板間隔を保てる秋季大会でもあり、投げながら成長していったというのは実感だろう。/

(文=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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