試合レポート

【愛知・交流戦】少年野球時代から知り合いの監督同士の交流戦は豊橋西が連勝!

2024.05.06


津島・谷山和広監督と豊橋西・林泰盛監督は1年違いの幼馴染でもある

<交流戦:第1試合 豊橋西11-5津島、第2試合 豊橋西5-2津島>◇5日◇豊橋西高グラウンド

ゴールデンウィークの最中、高校野球の各チームは、夏へ向けてのチーム強化に余念のないところである。愛知県では、3日に県大会も終わったのだが、各校はこの時期、積極的に対外試合を組んで、チームの課題を見つけ出したり、修正点のチェックなどに取り組んでいくところである。そのためにも、より多くのタイプの相手と練習試合を組んでいくということもまた、大事なポイントと言えよう。

東三河地区の豊橋西では、尾張地区の津島を迎えての練習試合が組まれていた。
豊橋西はこの春は、20校が参加した東三河地区予選、5校ずつの一次リーグでは豊橋中央には敗れたものの、蒲郡豊丘豊橋工科を下して3勝1敗、2位校として県大会進出をかけた2次トーナメントに進出。1回戦では時習館に3点リードされながらも、7対5で逆転勝ち。しかし、代表決定となる5位決定戦では国府に完封負けを喫し県大会進出を逃した。さらには、7位決定戦でも桜丘に7対8で敗れ、全三河大会の進出も逃した。

そこから、夏へ向けての再調整という形で、1カ月やって取り組んできたことの成果がどこまでやれているのかという確認という意味もあろう。豊橋西の場合は、バントと走塁の精度を上げていくということを徹底してやってきたというが、その成果がこの日はいい形で示されていたようだ。

津島は、34校が参加した尾張地区1次予選では江南を退け2次トーナメントへ進出。2次トーナメントでは1回戦で津島東に13対6と勝利し、2回戦強豪の愛知黎明に2対1と競り勝って県大会進出を決めた。3回戦では大成に大敗を喫したものの、県大会では1回戦で西尾投手が好投して岡崎城西に3対1と快勝している。2回戦では、県大会で準優勝する中京大中京に0対8と力の差を見せつけられる形にはなってしまった。それでも尾張地区では、昨秋は愛知啓成を下し今春は愛知黎明を下したということは、谷山和広監督は、「チームにとっては、間違いなく自信となっている」という。

谷山監督は尾張地区の連盟理事も務めているが、豊橋南の出身でもあり、実は東三河地区は自分の出身地元でもあるのだ。豊橋西の林泰盛監督とは1年違いでもある。時習館出身の林監督とは、小学生の少年野球時代からの知り合いだという。東三河地区同士でもあり、高校時代は何度も対戦もしているようだ。豊橋南の投手でもあった谷山監督は、「ほとんど抑えた記憶がないんだよね、いつ出てきても打たれたような気がしている」と苦笑する。もっとも、林監督はその後進学した筑波大では首都大学リーグで首位打者を獲得するほどのアベレージヒッターだったのだ。

ところで、谷山投手がいた豊橋南は1997年夏には快進撃を続け、古木克明(元横浜など)などがいた豊田大谷に敗れはしたものの、決勝進出を果たして大旋風を巻き起こしているが、その原動力でもあったのだ。

なお、林監督は翌1998年夏、折しも第80回記念大会でもあり、その年の開会式では第1回大会から参加している学校の主将として招待されて校旗を持って開会式の入場行進に参加して甲子園の土を踏んでいる。また、指導者となってからは、前任校の豊橋工(現豊橋工科)を率いて2015年春のセンバツ大会に21世紀枠代表校として甲子園へ導いている。

そんな、愛知県の高校野球の歴史の一部を飾る両監督の対戦でもあり興味深いものでもあった。

2試合の結果としては豊橋西が連勝という形になった。豊橋西は、前述のように県大会進出を逃した後に、課題として取り組んできたことの一つひとつが成果として表れているようで、相手の失策に付け入っていく攻撃や、バントもしっかりと初球で決めていくことも出来ていた。「低反発バットになったからということではなく、元々そんなに打てるワケではありませんから、貰ったチャンスは大事にしていかなくてはいけない」というところからのものでもある。

また、一三塁からの重盗で得点したり、送りバントした打者が一塁手がタッチしようとしたのに、逆走して粘って、その間に一塁走者が三塁まで進むなどという走塁も見せていた。こうした、相手のわずかなスキを突いていく姿勢もチームに浸透しているという感じだった。

津島の谷山監督も、「すっかり、やられました。完敗ですね。5点取れた試合は、そこで流れをもう一度戻して、いけそうだったのですが、1点差とした次の回にやられましたからね。守りに対してのプレッシャーが厳しかった」と、相手を称えていた。それでも、「今日の練習試合は、お互いにミスもあったけれども、それをどうフォローしていくのかということも含めて、相手からもいっぱい学ぶ要素を貰えて、とても収穫があった」と、連休終盤の練習試合だけれども、大いに有効だったと感じている様子だった。

この記事の執筆者: 手束 仁

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