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内転筋の役割とトレーニング【セルフコンディションニングお役立ち情報】

2024.04.16


内転筋群の解剖図(イラストACより)

人間の体には「内転筋」という名前のつく筋肉が複数存在しますが、皆さんが内転筋と聞いて思い浮かぶのは、太ももの内側にある内転筋群ではないかと思います。これらの筋肉は骨盤と太ももにある大腿骨とをつなぎ、主に太ももを内側に引きつける内転動作を担います。太ももの筋肉といえば、前面にある大腿四頭筋、後面にあるハムストリングス(大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋)に注目しがちですが、内転筋群はその筋断面積をみると、ハムストリングスに匹敵するほどの筋肉量があり※、目立たないながらも大きな力を発揮する筋肉群といえるでしょう。

内転筋群は太ももを体の近くに引きつける内転動作はもちろんですが、ランニング動作での足の切り返し局面、股関節の動きにあわせて姿勢を制御する働きなどがあります。特に片足で体を支える時には、バランスが崩れないように内転筋が作用します。野球でのピッチングやバッティングにおける、いわゆる「下半身の粘り」は、片足の状態から次の動作へと移行する時に主に内転筋群が伸ばされながらも力を発揮する伸張性収縮による力発揮のことを指しているのではないかと考えられます。

内転筋群を鍛えるためのトレーニングとして代表的なものにサイドランジがあります。足を左右に踏み出し、内転筋を伸ばしたところから収縮させるもので、自重でも行うことが出来ます。実施するときは「踏み出した足を引きつける」内転動作を意識して行いましょう。この他にも股関節の曲げ伸ばしを伴う動作(フロントランジ、バックランジ、踏み台や段差などを用いたステップアップ、スクワット等)や素早い切り返し動作を含むもの(バウンディング等)、股関節の大きな動きを伴うもの(キャリオカ走等)などを行うことは、内転筋群を鍛えることにもつながります。またこれらのエクササイズは、内転筋の強化とともに股関節の動きを改善することも期待できるものです。「下半身の粘り」をイメージしながら、内転筋に着目したエクササイズを実施していくようにしましょう。

※参考書籍)アスリートのための解剖学 大山卞圭悟(おおやま べん けいご)/草始社

文:西村 典子
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この記事の執筆者: 西村 典子

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