1部初昇格の明治国際医療大の4番エースは大学中退とフリーターも経験。昨秋優勝の佛教大相手に好投!【京滋大学野球】
明治国際医療大先発の杉本琉成
1日京滋大学野球の春季リーグが開幕。昨秋の入れ替え戦で勝利して、1部初昇格を果たした明治国際医療大は昨秋王者の佛教大に0対5の2安打完封負けとほろ苦い1部デビューとなった。
「打球が違いますよね。うちの場合は力不足。ミスが多かった」と試合を振り返った石田雅紹監督。早くも1部の洗礼を浴びた。
その中で大黒柱として期待されているのが4番投手の杉本琉成(2年=京都成章)。多彩な球種を操る右腕で、この日は自己最速を更新する143キロを計測した。打つ方でも4回表の第2打席でチーム初安打を記録。「自分がバッティングでもピッチングでもチームを引っ張っていかないといけないと思っているので、初ヒットが自分だったのは次につながると思います」と話した。
杉本は高校卒業後に天理大へ入学したが、2年の前期で中退。半年のフリーター生活を送った後、救急救命士になることを志して、明治国際医療大に入学した。
本来であれば、大学4年生の代。日本学生野球憲章の規定では4年を超えての登録は認められないため、天理大で1年半過ごした杉本がプレーできるのは来年の春までとなる。残りの1年半は学生コーチとしてチームを支える予定だ。
「大学生らしいというか、良い野球をしているなと思いました。僕らはまだ若いチームなので、見習うところが多いと思いました」と佛教大の強さを感じた杉本。緊張から硬くなっている選手も多かったようで、チーム全体としても思うようなパフォーマンスを発揮することができなかった。
2年前に準硬式から硬式に移ったばかりということもあり、メンバーの多くは下級生。まだまだ伸びしろがあるチームだ。二刀流としてチームを引っ張る杉本を中心にまずは1部定着と行きたいところだ。
勝利した佛教大はリーグ戦初先発の田中航大(4年=近江)が7回を投げて1安打、1四球、10奪三振で無失点の好投。140キロ前後のストレートにチェンジアップ、スプリットを駆使して、コースを丁寧に突く投球が光った。
近江時代はエースとして2020年夏の独自大会優勝に貢献。しかし、大学ではBチームにいることが多く、昨年までは目立った結果を残せていなかった。
飛躍のきっかけとなったのが、昨秋に行われた「あの夏を取り戻せ 全国元高校球児野球大会」。甲子園がコロナ禍で中止になった世代のために独自大会の優勝校などが参加して記念試合などを行うプロジェクトだ。そこで高校時代の同級生と再会して、周囲の期待を感じた田中は「ラスト1年やり切らないと」と奮起。腹をくくって冬以降の練習に取り組み、開幕投手の座を射止めた。
野球には今年限りでピリオドを打つ予定。「やっとリーグ戦でも投げることができているので、もっと上がっていきたいと思います」とさらなる活躍を誓った。