【春季沖縄大会】師弟対決は「師」へ軍配!中部商がコールド勝ち
<第71回沖縄県高校野球春季大会:中部商7-0中部農(7回コールド)>◇23日◇1回戦◇ユニオンですから宜野湾
中部商の町原尚忠監督は、1998年から2003年まで八重山高校の野球部監督を務めていた。そのときに現役投手として在籍していたのが現在、中部農の慶田城剛監督だ。
師弟が、ともに監督として雌雄を決することとなったこの日。結果だけを見れば中部商の圧勝だが、中部農ナインが不運に見舞われた側面もあった。
目指す野球を、改めて脳裏に深く刻んだ中部商ナイン
中部商の町原監督は言う。「守り抜く、1点のリードを守り切るという野球が目標でした」
昨年秋の大会では、接戦を演じながらも名護にサヨナラ負けを喫した。1つも勝てないまま臨んだ春季大会だったが、これまでの金属バットを使用していた秋と違い、10メートルほど打球の飛距離が落ちるとも言われる新基準の「飛ばないバット」が導入された。監督が掲げる野球を目指して冬を越してきたナインにとって、このゲームはピタリとはまり、自信を深めた一戦にもなった。
2回を終え、ヒットは僅か1本だったが、3回2死から2番・宮里 拓久斗、比嘉 海瑠が連続安打。中部農先発の大城 剛毅が宇根 稜介を投ゴロに打ち取ったが、一塁手がベースに入るタイミングを逸し、これまた投げるタイミングが合わない大城の送球も逸れ、中部商が先制した。
慶田城監督は「ファーストの子は、実は中学までサッカー部。努力でレギュラーをつかんだ子。誰も責められません」と振り返る。
中部農・大城 剛毅は4回は三者凡退で切り抜けたが、5回に捕まる。中部商は1番・岸本 佑大の適時二塁打で得点すると、比嘉 海瑠も右前への適時打で2点を追加。6回にも「身体能力はズバ抜けていい」と、町原監督も期待する比嘉 海瑠が、コールドゲームを決める7点目を迎え入れる2点適時三塁打を放ち、中部商が勝利した。
敗れた中部農は、6回の守備で不運に見舞われた。1死から内野安打と四球で一、二塁となる場面。その四球となった4球目が暴投となる。その球が、慌てて下がったボールボーイたちのイスにかけられていたウインドブレーカーに紛れてしまった。その一瞬の間を見逃さない中部商ナインの走塁は見事だったが、まさかウインドブレーカーに絡まるとは…。
判定の説明を求めた中部農ナインだったが、結果はインプレー。そこから右前安打、中前安打と繋げられたが、その打球は前進守備の高江洲 希龍二塁手、徳門 正人遊撃手のグラブが、届きそうな距離でもあった。暴投となった球がウインドブレーカーにまぎれず、一、二塁から内野も通常ポジションで守っていたなら、捕球できたかもしれなかった。
「たら・れば」は厳禁だが、コールドゲームという点数からは見えない、中部農ナインが不運に泣いたゲームでもあった。
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