Interview

大会屈指の強打者・モイセエフ・ニキータ独占インタビュー 「目標は世代No.1野手&高校日本代表、そしてプロ入り!」

2024.03.17


3月18日開幕するセンバツ。大会2日目第1試合・豊川(愛知)-阿南光(徳島)戦に今大会屈指のスラッガーが登場する。豊川モイセエフ ニキータ外野手(3年)だ。ロシア人を両親に持つモイセエフは、181センチ85キロと屈強な肉体を活かし、現時点で高校通算15本塁打を記録している。センターからの守備からダイレクト返球を見せ、抜群の強肩も持ち味だ。

昨秋から大きく進化を魅せ、打撃成績は打率.571、6本塁打、32打点、10四死球。しかも63打数で三振はわずか2しかない。
長打力もあって、バットコントロールもよく、どのコースに投げられてもヒットに弾き返すことができる。しかも、明治神宮大会準決勝の星稜戦の本塁打を代表するように、大事な場面では常に結果を残してきた勝負強さもある。投手にとってこれほど怖い相手はないだろう。
そんな万能型スラッガー・モイセエフに話を聞いた。

明治神宮大会・星稜戦では打った瞬間、それと分かる本塁打を放った

高1冬のフィジカル強化で俊足タイプからスラッガーに変身!

モイセエフは高校入学当初、180センチ体重66キロと、華奢な体格をした選手だった。阿久比小では東海ボーイズに所属し、左腕投手として活躍。阿久比中では愛知衣浦シニアに進んでからは、外野手として活躍した。
当時は「パワーはあまりなくて、今よりも細かったのでスピードで勝負する選手でした」と振り返る。

豊川には、施設の良さ、練習の雰囲気の良さに惹かれて入学したという。1年夏から公式戦に出場し、1年秋には3番を打つなど、期待は大きかったモイセエフだが、公式戦・練習試合通じて本塁打は0本。長打が打てる選手になりたいと体作りに励んだ。
「体重を増やしたかったので、毎日お米は1キロ食べました。ウエイトもしっかりとやって、プロテインもしっかりと摂取する生活を毎日やってきました。空腹になる時間帯は作らず、間食も欠かさずに摂っていました」

豊川にはボディビルダー経験者のトレーナーがおり、ウエイトのやり方を学んだ。
「ウエイトの仕方など本当に知識がある方なので、色々と質問しました」
一冬を超えると、10キロほど体重が増えた。モイセエフはパワーアップを実感した。
「やはり打球の速度、飛距離が一気に変わった感じですね。初本塁打は豊川のグラウンドだったんですけど、ここのグラウンドは両翼100メートル、中堅122メートルと結構広いんです。打てたのは自信になりました」
今ではベンチプレスの100キロのバーベルを何度も持ち上げる。豊川の雨天練習場には、ベンチプレス、スクワット、デッドリフトの上位者の名前が書かれた紙が貼られているが、モイセエフはベンチプレスが105キロ、スクワットが190キロと2種目でチーム1位の成績だ。

スラッガー・モイセエフの才能を目覚めさせたのは、2年生になった昨春の県大会3回戦の星城戦だった。4番に入ったモイセエフは9回裏に逆転サヨナラ2ランを放ったのだ。
「このサヨナラホームランは本当に気持ちが良くて。自分にとって通算2本目。無死一塁の負けている場面でホームランを打てて、夏のシードに繋がった。本当に嬉しかったですね。緊迫した場面で打てたことで、自信にもつながりましたし、このサヨナラ本塁打以降、ホームランを量産できるようになりました」

フィジカル強化が実戦での成功体験につながり、モイセエフは自信を深めていく。昨年1年間で放った14本塁打のうち、半分は広い豊川グラウンドで打てたものだ。
甲子園は左打者にとって不利な浜風が吹いている。それでも両翼95メートル・中堅118メートルの甲子園球場でも本塁打を打てるパワーは十分に備わっている。

次のページ:センバツ出場のサヨナラ勝ちを呼び込んだ読みの鋭さ

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この記事の執筆者: 河嶋 宗一

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