試合レポート

慶應のプリンス・丸田奏斗が鹿児島でデビュー!試合は名門・JR東日本に軍配

2024.02.24


丸田 湊斗(慶応)

<薩摩おいどんカップ:JR東日本5-2慶応大>◇23日◇鹿児島

今年で2回目となる「薩摩おいどんカップ」。あいにくの雨模様で開催が危ぶまれたが、大学、社会人、アマチュア球界屈指の名門野球人たちの熱気がそれを上回り、9回まで雨天中断することなくやり切った。

先手を取ったのはJR東日本。1回裏、先頭の海﨑 雄太(法政大)が右越え三塁打を放つ。3番・倉石 匠己(中央大)の遊ゴロで海﨑はアウトになったが、三本間で挟まる間に倉石が三塁に到達。4番・山内 慧(専修大)が右前適時打を放ち、先制点を挙げた。
2回まで無安打に抑えられていた慶応大だったが、3回表に二死一二塁とすると、2番・横地 広太(慶応高)が左前適時打を放って同点に追いついた。
その裏、JR東日本は一死から2番・福武 修(立命館大)が左翼線二塁打で出塁。4番・山内が2打席連続適時打となる左前打を放ち、再び突き放す。
5回は二死から3番・倉石が右翼席に特大ソロを放ち、6回は二死一二塁から代打・篠田 怜汰羽黒高)が走者一掃の左越え三塁打を放つなどそつなく得点を重ねた。
先発の右腕・小谷野 楽友(日本大)、5回からは左腕・石上 祐介(東洋大)、8回からは右腕・川西 雄大(日本大)、3投手陣が安定した投球を披露した。
慶応大は4、5回と走者は出すも得点につながらず、6回以降は無安打に抑えられ、反撃の機会を作れなかったが、9回に「見せ場」を作った。
簡単に二死となったところで打席に立ったのは途中出場の7番・丸田 湊斗(慶応高)。昨夏の甲子園決勝で先頭打者本塁打を放ったルーキーの大学「プレデビュー」だった。簡単に2ストライク追い込まれるも、フルカウントまで粘り、8球目の内角直球を振り抜く。右翼線ギリギリの二塁打を放ち非凡の才を示した。続く8番・坪田 大郎(慶応高)が中前打を放ち、大学日本一チームの意地を見せた。

今年最初のオープン戦を勝利したJR東日本。濵岡武明監督は「投手陣がよく抑えてくれて、どっしり、しっかりとした野球ができた」と評した。
6回まで毎回の9安打を放ち、二死からのソロなど4本の長打が効果的に絡んでの5得点。主導権を握ったまま勝ち切れたのは、投手陣が制球良く自分のペースで投げ、雨で足場が悪い中でも野手陣がノーミスで守り「守備から攻撃のリズムが作れた」のを指揮官は何より評価していた。

おいどんカップは鹿児島で合宿やキャンプを張るチームのオープン戦という意味合いの他にも、野球を通じた地域活性化や野球普及活動など様々な意義がある。
この試合では一塁側のJR東日本応援席は加治木高、三塁側の慶応大応援席は龍桜高、地元・姶良市の高校の吹奏楽部が雨の中で応援演奏を繰り広げた。「オープン戦でもこういう雰囲気を作ってもらえてありがたい」と濵岡監督。「緊張感のある中で試合をやる方が選手の成長にもつながる。技術はプロにかなわないかもしれないが、全力疾走や1球にかける集中力などアマチュアの良さをぜひ多くの人に見ていただきたい」と大会に臨む意気込みを語っていた。
中学生のベンチ入り体験は、おいどんカップの見どころの一つ。ガッツ鹿児島の吉田壮撞さん、中原嘉仁さん、永田裕紀さんの3人は慶応大のベンチに入り、めったに体験できない大学野球のベンチの雰囲気を肌で感じた。
「試合中、ずっと声が途切れなくて、迫力があった」と吉田さん。チームでは右翼を守る中原さんは「1球1球に集中していて、外野からでも声を掛けている」姿を自分も参考にしたいと思った。永田さんは「場面、場面で声掛けを変えている」のに着目。走者なしの場面は「打たれてもいいぞ」と大胆になる一方、走者がいて失点しそうな場面は守備陣へのち密な声掛けをしているのを感じた。3人とも、これからの野球人生に役立つものを体感できたことを喜んでいた様子だった。

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この記事の執筆者: 政 純一郎

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