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滋賀の古豪公立校を支える元日本ハム選手「フィットネスやヨガを取り入れた異例の練習」を行う理由

2024.02.19


選手を指導する下田 充利さん

2013年に学生野球資格回復制度の条件が緩和され、教師以外の元プロ野球選手も、「NPBプロ研修会」と「学生野球研修会」の2つの研修会を受講し、さらに適性検査を受けて、合格すれば、資格回復となった。これにより毎年、100人以上の元プロ野球選手が資格回復となり、近年の高校野球は元プロ野球選手の監督やコーチが珍しくなくなってきた。
センバツ出場の近江が牽引する滋賀県もその流れになっており、1939年と63年の春に甲子園出場の実績を持つ滋賀の大津商にも元日本ハムの下田 充利さんがいる。

下田さんは現在65歳。県内の一般企業で働きながら週末を中心に外部コーチとして指導に携わっている。下田さんが他の元プロの指導者と違うのは、引退後、会社員時代に出会った「フィットネストレーニング」を選手たちの指導にも活かしている。

一度も一軍にあがられなかった5年間のプロ生活

岡山県岡山市出身の下田さんは東岡山工に入学。野球漬けの毎日だったと振り返る。
「365日、野球ですね。朝、起きて素振りをやって、学校の授業をやって、19時に全体練習が終わるんです。そこから毎日、学校から10キロもある監督の家までランニングして、素振りを1000回して、家に帰る。そういう毎日でした」

猛練習するきっかけは下田さんが中学時代の時に、東岡山工の服部 与人監督(後に関西で監督)にある言葉をかけられたこと。
「君はプロ野球選手に行く気があるか?といわれてスタートでした。もちろん私は行きたいと監督に話をして、そこを目指して練習に取り組みました」
猛練習の甲斐もあって捕手として活躍。強肩を活かして投手として登板することもあった。

76年のドラフト前には4球団から注目され、大学、社会人からも誘われるほどまでになった。実際のドラフトではドラフト6位で日本ハムに入団した。
「いろんな球団から注目いただいていたので、指名はあるかなと思ったので、最後の最後で焦った思いがあります。日本ハムは2年前(1974年に日拓から日本ハム)に変わったばかりで、イメージが沸かなかったですね」

投手としての指名だったが、高校時代からメインだった捕手として入団した下田さんは入団直後に実力不足を痛感した。さらに高校から一気にプロの世界に入ったことでサインプレーにも苦労。怪我が多かったこともあり、5年目のシーズン終了後に自ら任意引退を申し入れて、一度も1軍の試合に出場することなくユニフォームを脱いだ。

引退後は地元に戻って会社員として働く傍ら日本ハムの編成アドバイザーとして中国地方を中心に新人発掘のサポートを行ってきた。発掘に関わった選手には92年のドラフト1位である山原 和敏投手( 玉野光南 – 川崎製鉄水島)や現在はオリックスの打撃コーチを務める高橋 信二捕手(津山工)などがいる。

日本ハム時代の下田 充利さん(写真はご本人提供)

次のページ:元プロ野球選手ながら、フィットネストレーニングを取り入れたきっかけ

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この記事の執筆者: 馬場 遼

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