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【高校野球勢力地図・三重編】秋東海4強の宇治山田商がリードするも津商、いなべ総合、三重などが追う 『下剋上球児』を育てた東監督率いる昴学園にも注目!

2024.01.19


高校野球では、今年から新基準の低反発のバットを使用するということになって、野球のスタイルにも多少の変化が生じるのではないかとも言われている。そんな、2024年の高校野球の三重県の勢力構図と見どころを展望してみた。

山商復活に湧く地元、新基準バットに合った戦術・鈴鹿

昨年は春と夏をいなべ総合が制して、7年ぶりの甲子園出場を果たした。「このところ、ちょっと低迷していたので、この復活はとても嬉しい」と、ベテラン尾崎 英也監督も、素直に復活を喜んでいた。3番を打っていた伊藤 竜聖外野手(2年)以外は、秋の新チームはガラリとメンバーが入れ替わったが、県大会はベスト8に残った。準々決勝では鈴鹿に敗れたものの0対1の僅差だった。一冬越えての成長が期待される。

秋季県大会を制したのは夏の準優勝校・宇治山田商だった。創立115年を迎えた伝統校だが、16年ぶりとなった秋季東海地区大会でも、2回戦では中京(岐阜)相手に耐える戦いとなったが、粘り勝ってベスト4に残った。準決勝では、あとアウト1つというところで敗れて悔しさも味わった。1年生の加古 真大投手(1年)と、185センチ、78キロの大型でバランスのいい中村 帆高投手(2年)と、田中 燿太投手(2年)という投手力がしっかりとした守り型のチームだ。遊撃手で主将の伊藤 大惺内野手(2年)を中心に、まとまりもいい。地元では“山商復活”を喜ぶ声も多い人気校でもある。

準優勝で25大会ぶりの秋季東海地区大会進出を果たした鈴鹿は、164センチと小柄な今村 颯投手(2年)と182センチの1年生・高山 航太郎投手が、丁寧な投球でチームを引っ張ってきた。小技も絡めた野球で、少ないチャンスをものにしていくというスタイルを大事にしている。新基準バットの戦術としては合っているとも言えそうだ。

このところ、県内では確実に上位進出の実績を残してきている津商。今の時代は全国的傾向で、部員を集めにくい公立商業校ながら、確実に結果を残し、地元の多くの有望選手も集まってきている。昨春に加え、一昨年の夏秋と県で準優勝しているが、この秋は1回戦で優勝した宇治山田商に敗れている。そこからの、巻き返しが期待される。

一昨年夏の代表校の三重も、選手の粒は揃っていると評判はいい。秋季県大会では準々決勝で近大高専に乱戦の末に敗れたものの、189センチ、92キロの大型捕手の澤村 凪人捕手(2年)は全国的にも注目されている。田中 聡真内野手(2年)も好選手である。

近大高専では吉留 勇太投手(2年)が注目されている。また、秋季県大会ではベスト8を逃した津田学園も、佐川 竜朗監督が毎年好チームに仕上げてくるだけに、春から夏への戦い方は注目される。中村 駿亮投手(2年)も評価が高い。

神村学園伊賀の勢いに注目!

面白い存在となりそうなのは、その津田学園を2回戦で下し、県大会3位にまで昇りつめて、東海地区大会初出場を果たした神村学園伊賀だ。登録部員14人で挑んだ初の東海大会では、勢いに乗っていた豊川の前に、コールドゲームで敗れたものの、谷口 哲監督としても「5回までは接戦だったこともあって、いい経験になったけれども、ここで満足することはない」と、先を見据えていただけに、新たなシーズンでどこまで成長しているのかというのも楽しみである。

他には、機動力野球が新基準バットで上手に機能すれば面白い存在になりそうな海星や、粘り強く実績を積み上げようとしている皇學館も期待できる。中日で売り出し中の岡林 勇希外野手の母校である菰野も、上位進出を目指す存在だ。松阪伊勢木本久居といった公立の普通科校に、2018年夏に過疎の学校でもあった白山を甲子園に導いて「下剋上球児」を育てたと注目された東 拓司監督が異動した昴学園も、今季はどのような戦いを挑んでくるのか、注目していきたい。

(文/手束仁)

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この記事の執筆者: 手束 仁

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