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仙台育英2年連続の快進撃に、様々な「初」も…宮城アマチュア野球の2023年10大ニュース

2023.12.20

先発した日本ウェルネス宮城・大内誠弥、仙台大・辻本倫太郎、仙台育英優勝

全国的な注目を集める仙台育英の快進撃をはじめ、今年も宮城のアマチュア野球はカテゴリーを問わず、話題が目白押しだった。2023年の10大ニュースを厳選し、紹介する。

仙台育英、2年連続で夏の甲子園決勝進出

昨年、東北勢初の甲子園優勝を果たした仙台育英は、今夏も聖地で輝きを放った。初戦の浦和学院(埼玉)戦は、尾形 樹人捕手(3年)、湯田 統真投手(3年)の2者連続本塁打が飛び出すなど、19安打19得点と打線爆発。その後も聖光学院(福島)、履正社(大阪)、花巻東(岩手)、神村学園(鹿児島)と強敵を次々撃破し、2年連続で決勝の舞台へ。決勝は慶應義塾(神奈川)に2対8で敗れ頂点に立つことはできなかったが、宮城県民に感動を与える堂々たる戦いぶりだった。大会後は山田 脩也内野手(3年)、橋本 航河外野手(3年)、高橋 煌稀投手(3年)、尾形の4人が侍ジャパンU‐18日本代表に選出され、世界一に貢献した。

聖和学園、春夏秋通じて初の県大会優勝

秋季高校野球県大会は聖和学園が制した。2004年創部の聖和学園が県大会で優勝するのは春、夏、秋を通じて初めて。投打のかみ合う安定した戦いぶりで勝ち上がり、古川学園との決勝は11回タイブレークの末、7対5で勝利し快挙を達成した。東北大会は初戦敗退を喫し、来春のセンバツ出場は絶望的となったが、来年も楽しみなチーム。野手では主将でリードオフマンの三浦 広大内野手(2年)や中軸を打つ鈴木 健人外野手(2年)、投手では齋藤 佑樹投手(2年)、千葉 桜太投手(2年)の二枚看板が中心を担う。

センバツ21世紀枠の最終候補に仙台一

来春センバツの21世紀枠候補校に、東北地区からは仙台一が選出された。出場が決まれば甲子園は1950年夏以来で、センバツは初めて。県内屈指の進学校は、吉報を待ちながら鍛錬の冬を過ごしている。仙台一は今春、県大会3位で38年ぶりに春季東北大会に出場。経験値の高いメンバーが多く残った新チームで迎えた秋も、県大会で3位に入り、17年ぶりの秋季東北大会出場を果たした。東北大会は春、秋いずれも初戦で青森の強豪・八戸学院光星に敗れたものの、秋は7回に3点差まで迫るなど善戦。聖地でも白星を手にする力は十分にある。

仙台育英・山田脩也が阪神からドラフト3位指名

仙台育英で主将を務めた山田 脩也内野手(3年)はプロ志望届を提出し、今秋ドラフトで阪神から3位指名を受けた。守備に定評のある右打ちの内野手で、高校では1年春から遊撃の定位置を奪取。甲子園には春夏計3度出場しており、攻守にわたってチームを牽引して優勝と準優勝を経験した。3年次は侍ジャパンU‐18日本代表に選出され、韓国戦で本塁打を放つなど優勝に貢献。高卒ながら十分な実績をひっさげてプロの世界へ進む。再び甲子園を沸かせる日はそう遠くないはずだ。

日本ウェルネス宮城から初のドラフト指名

2020年創部の新鋭校・日本ウェルネス宮城から、初のドラフト指名選手が誕生した。地元球団の楽天から7位指名を受けた大内 誠弥投手(3年)。21年入学の大内は2期生に当たり、プロ志望届を提出した選手も同校では初めてだった。191センチと恵まれた体格を持つ最速144キロ右腕で、2年秋から3年春にかけて急成長。球速が上がっただけでなく、変化球の精度も増し、ゲームメーク能力が向上した。東松島市で生まれ育った選手とあって、地元ファンからの期待も厚い。

「世代ナンバーワン遊撃手」が仙台大野手初の支配下指名

仙台大の辻本 倫太郎内野手(4年=北海)が、今秋ドラフトで中日から3位指名を受けた。仙台大の野手の支配下指名は初。小柄ながら遊撃の守備は一級品で、パンチ力と勝負強さを兼ね備える打撃も、大学4年間で大きく成長した。大学ラストイヤーは春、秋ともにリーグ戦で3割を超える打率を残し、全日本大学野球選手権でも本塁打を放つなど活躍。個性派揃いのチームをまとめるキャプテンシーも存分に発揮した。大学日本代表にも2年連続で選出された「世代No.1遊撃手」は、プロの世界では「球界一の遊撃手」を目指す。

仙台大が全日本大学野球選手権で9年ぶり8強入り

仙台六大学野球春季リーグ戦は仙台大が優勝し、8年ぶりに全日本大学野球選手権に出場した。初戦で桐蔭横浜大をタイブレークの末破ると、2回戦は東日本国際大との「東北対決」を逆転勝ちで制し、初の「全国大会2勝」を達成。準々決勝では明治大に完封負けを喫したものの、9年ぶりの8強入りを果たした。中でも注目を集めたのが、ルーキー佐藤 幻瑛投手(1年=柏木農)の奮闘ぶりだ。桐蔭横浜大戦では6回途中無失点と好投し、明治大戦は5回に崩れたが強打者がずらりと並ぶ打線相手に強気の投球を披露した。

東北福祉大が秋のリーグ戦で3年ぶりの全勝優勝

仙台六大学野球秋季リーグ戦は東北福祉大が2020年秋以来の全勝優勝を収めた。チーム防御率0点台を記録した強力投手陣が他大学を圧倒し、ライバルの仙台大にも連勝。中でも2季連続で最優秀投手賞に輝いた北畑 玲央投手(4年=佐久長聖)ら4年生投手の活躍が目立った。野手陣では「4番・遊撃」に定着した島袋 皓平内野手(3年=沖縄尚学)が打率.385、3本塁打、10打点と圧巻の成績を残し、最高殊勲選手賞、ベストナイン、最多本塁打賞、最多打点賞の4冠を獲得した。島袋は来秋のドラフト候補にも挙がっている。

「仙台勢」が都市対抗にダブル出場

今年の都市対抗野球大会には、東北地区からJR東日本東北、七十七銀行と仙台市の2チームが出場した。JR東日本東北は3年連続、七十七銀行は4年ぶりだった。JR東日本東北は初戦で日本生命(大阪市)を破るも2回戦で敗退し、上位進出はならず。七十七銀行は初戦で東芝(川崎市)に敗れたものの、ルーキーの西舘 洸希投手(23=筑波大)が先発のマウンドを託され、2番手で登板した同じくルーキーの渋谷 祐太郎投手(23=石巻専修大)は3.1回を投げ無失点と好救援を見せるなど、若手が経験を積んだ。

クラーク記念国際仙台女子硬式野球部が初の日本一に

クラーク記念国際仙台が全国高校女子硬式野球ユース大会で優勝し、女子野球では東北勢初となる全国制覇を達成した。クラーク記念国際仙台は、東北初の高校女子硬式野球部として2018年に創部。これまで全国大会での最高成績は準優勝にとどまっていたが、創部6年目にして初の栄冠を手にした。今年は仙台大に東北の大学では初となる女子硬式野球部が発足するなど、宮城、また東北における女子野球の普及がより一層進んだ1年でもあった。

この記事の執筆者: 川浪 康太郎

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