試合レポート

ハイレベルの接戦! 作新学院逆転で初優勝へ前進!関東一を下す<明治神宮大会準決勝>

2023.11.20


<第54回明治神宮野球大会:作新学院8-6関東一>◇19日◇高校の部・準決勝◇神宮

関東と東京の王者同士の対戦は、ハイレベルの接戦になった。

大会もここまで来れば、中心投手の負担はできるだけ減らしたいところだ。作新学院(関東)は関東大会の決勝戦同様、背番号11の小池 柊聖投手(2年)が先発。関東一(東京)は、普段は右翼手で公式戦は初登板になる石田 暖瀬外野手(1年)が先発した。「元気のいい子で、練習試合ではよく投げています」と関東一の米澤貴光監督は言う。

試合は初回から動く。1回、作新学院は、2死一塁から4番・柳沼 翔内野手(1年)が右前安打、5番・岩出 純捕手(2年)の死球で満塁とし、6番・廣田 瑠稀哉外野手(2年)の中前安打で2人が還る。しかし、一塁走者の岩出が一気に三塁に進もうとしたが、関東一の中堅手・飛田 優悟外野手(2年)が三塁に好送球をして刺した。

その裏、関東一は1番・飛田が俊足を生かして内野安打で出塁すると、2番・成井 聡外野手(2年)のバントが敵失となり一、二塁。3番・坂本 慎太郎外野手(1年)のバントも内野安打になり、満塁。関東一は足を生かした攻撃で作新学院を揺さぶる。4番・髙橋 徹平内野手(2年)は捕邪飛に倒れたものの、5番・熊谷 俊乃介捕手(2年)の中犠飛でまず1点を返す。その間に成井は三塁に進み、一塁に残った坂本は投手の暴投で二塁に進む。続く6番・越後 駿祐内野手(1年)の二ゴロは敵失となり成井が還り同点。しかし、二塁走者の坂本は三塁で刺され、同点止まりに終わった。

これでペースをつかんだ関東一は3回、1番・飛田の中前安打に続き、2番・成井、3番・坂本のバントが続けて内野安打になり満塁。前の打席で凡退した髙橋は、今度は二塁打を放ち2点が入る。さらに5番・熊谷の左犠飛で1点を追加する。

4回も1死一、二塁から2番・成井の左前安打で1点を追加する。なお1死一、二塁のチャンスで3番・坂本は二ゴロの併殺に終わる。前半の戦いについて作新学院の小針 嵩宏監督は、「記録に表れない、細かいミスも多かった。でもあの回、1点で納まって、後半勝負に切り替えることができました」と語る。

関東一は足を生かした攻撃で、6対2とリードしたものの、3回も4回も、もっと点が取れた可能性があっただけに、得点の上積みができなかったことが、後半になって響く。

作新学院は4回の途中から右の横手投げの石毛 虹晴投手(2年)が登板。石毛は5回に関東一の6番・越後に二塁打を打たれたものの、得点は許さない。

関東一は3回から今大会好投している大後 武尊投手(2年)が登板。5回までは抑えたものの、6回1死から作新学院の5番・岩出に死球、6番・廣田の安打で一、二塁とし、7番、途中出場の菅谷 峻汰外野手(1年)の右前安打でまず1点を失う。続く8番・菊地 陽太内野手(2年)の右前安打で2人が還り、作新学院が1点差に追い上げる。

6回、関東一の攻撃で、大後に打順が回ってきたが、代打は送らず、7回のマウンドに立つ。関東一の米澤監督としては、もう1イニング投げてほしいところであったが、7回、作新学院は、この回先頭の1番・小森 一誠外野手(2年)が四球。2番・粒良 大輝内野手(2年)、3番・小川 亜怜外野手(1年)の連打で作新学院が同点に追いつく。ここで関東一は大後に代えて、この大会から背番号1になった坂井 遼投手(2年)が登板。坂井は、この回は後続を抑える。

しかし8回、作新学院は、この回先頭の7番・菅谷が右翼席に入る本塁打を放ち、勝ち越しに成功する。さらに7回と同じように、小森の四球に続き、2番、粒良、3番・小川亜の連続安打で1点を追加する。

作新学院は7回からエースの小川 哲平投手(2年)が登板。「絶対に点数を取らせないという気持ちで投げました」と言う小川哲は3イニングをしっかり無失点に抑え、8対6。作新学院関東一を破り、決勝進出を決めた。

関東一は決勝進出はならなかったが、大阪桐蔭(近畿)を破るなど、走塁を生かした攻撃力は、全国にしっかり知れ渡ることになった。「経験はたくさん、させてもらいました」と米澤監督。課題はあるものの、来年のセンバツに向けて、収穫の多い大会であったことは確かだ。

作新学院はこの大会初優勝を目指して決勝に進出する。「決勝戦にふさわしい、1点を争うような試合ができればと思います」と小針監督は、決勝戦に向けての抱負を語った。

この記事の執筆者: 大島 裕史

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.07.17

長野8強決定!松商学園、長野日大、東海大諏訪、佐久長聖などが勝ち上がる【2024夏の甲子園】

2024.07.17

元営業マンの監督が率いる大阪学院大高が夏初戦、春初優勝の勢いを夏にぶつける!17日大阪大会【2024夏の甲子園】

2024.07.17

【全国注目シード校・成績速報】神奈川では2校が4回戦で姿を消す、大阪、島根ではシードに明暗、昨夏初戦敗退の智辯和歌山はコールド勝ち【2024夏の甲子園】

2024.07.17

シード国士舘が過去5戦全敗の強敵・ノーシードの日大三に挑む!17日西東京大会【2024夏の甲子園】

2024.07.17

【全国ベスト8以上進出校一覧7・16】青森山田と八戸学院光星が8強入りし、準々決勝で対決!山梨、佐賀でも8強名乗り、北北海道では4強が決まる

2024.07.14

甲子園通算19度出場・享栄が初戦敗退 1点差でまさかの敗戦【2024夏の甲子園】

2024.07.13

四国の夏を盛り上げる逸材20名! 全国注目の四国BIG3から「東大野球部か医者か」の秀才、名門・池田の小さな大エースまで【逸材選手リスト】

2024.07.15

ノーシード・二松学舎大附が2戦連続で延長戦を制す【2024夏の甲子園】

2024.07.13

モイセエフ擁する豊川、初の夏の甲子園へ戦力向上中! カギは超高校級スラッガーの前、投手陣は急成長 センバツの雪辱をはたすか!?【注目チーム紹介】

2024.07.15

プロ注目153キロ右腕が3回戦で姿消す 好リリーフ見せるもあと1点及ばず【2024夏の甲子園・兵庫】

2024.07.08

令和の高校野球の象徴?!SJBで都立江戸川は東東京大会の上位進出を狙う

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.06.23

大阪桐蔭が名門・日体大に1勝1分け! スター選手たちが快投・豪快弾・猛打賞! スーパー1年生もスタメン出場 【交流試合】

2024.06.23

プロ注目の大阪桐蔭・徳丸が大学生相手に決勝アーチ!直近3週間5本塁打と量産態勢!2年ぶり夏甲子園へ強打者の勢い止まらず!

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」