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史上最高1014億円契約! 大谷翔平が「メジャーでも通用する」と実感した20歳「秋の2試合」

2023.12.10


大谷 翔平

大谷 翔平投手(花巻東)の新天地がドジャースに決まった。メジャー史上最高額の10年総額で7億ドル(約1014億円)の大型契約。北米スポーツ界でも最高額の契約だ。

名実ともに世界最高の野球選手となった大谷。彼がメジャーでも戦えることに大きな手ごたえをつかんだのは、日本ハムの2年目、日米野球に出場したときだった。

当時のインタビューを再構成の上、お届けする。

(インタビュー初掲2015年1月13日)
************
2014年11月に行われた日米野球。日本人最速の 162キロのストレートを誇る大谷と、MLBオールスターチームとの対戦は大きな注目を集めた。
まず第1戦に3番手として登板し、1イニングを無失点に抑える。第5戦では先発を任され、4回を投げて6安打2失点。打線の援護に恵まれず、敗戦投手になったものの、堂々7つの三振を奪ってみせた。この試合でのストレートの最速は 160キロ。

「自分の真っ直ぐが、メジャー相手にも通用すると手応えを感じました」と大谷は振り返る。
その半面、「通じないところもあると思った」という。
「コースが甘かったり、意図的に投げ切れてなかったボールは打たれたので、そのあたり
でしょうか」

メジャーの打者と日本人打者との違いも感じた。
「ひとつはパワーですね。やはり日本人より優れています。もう1つは打席での積極性。日本のバッターは、2ストライクに追い込まれるまでは、狙い球を絞りながらじっくりというタイプが多く、見逃し三振も少なくありません。ですが、メジャーのバッターは積極的で、初球からでも振ってきます。イニングの先頭打者もそうなので、入りに気をつけないとガツンとやられると痛感しました」

特に印象に残った選手は、ドジャースのヤシエル・プイグ選手だったという。
「(キューバ代表としても活躍した)有名な選手ですから」と、存在感にインパクトを受けたようだが、第5戦ではそのプイグ選手から2つの空振り三振を奪った。

メジャーの投手も初めて実感した。
「メジャーの右投手は、日本の右投手があまり投げない、左打者に対するフロントドア(内角のボールゾーンから変化してストライクゾーンへと入ってくるボールをメジャーではこう呼んでいる)を投げてくる」

同じ侍ジャパンの先輩投手から学んだことも多かった。
「日米野球では広島の前田 健太投手や東北楽天の則本 昂大投手、あるいはオリックスの金子 千尋投手が持ち味を発揮されてました。そこから吸収したものもありますし、日本のトップクラスの投手なら、十分にメジャーでも通用すると思いました」

日米野球での一番の収穫は何だったのだろう?大谷はこの質問に、キッパリとした口調でこう答えてくれた。
「オフに入るにあたり、改めて、やらなければならないと強く思ったことです。技術的なレベルアップもしなければいけないので、手を抜いているヒマも、遊んでいるヒマもないと。もっともこれは、日米野球で相手がこうだったからというのではなく、もともとそういう気持ちはありました」

このオフは基本的に“休みなし”でトレーニングを続ける予定だ。

明確な課題をもったトレーニングを継続

大谷は1年目、投手としては13試合に登板して3勝0敗(防御率4.23)、打者としては45安打、3本塁打、20打点をマークした(打率.238)。並の高卒1年目の選手なら及第点かもしれないが、むろん満足してはいなかった。
「シーズン通してフルに戦うための体力もまだまだ足りなくて、先輩方と比べると明らかに体ができていないと感じました」
そのため1年目のオフは「体を強く、そして大きくするのをテーマに、トレーニングに取り組んだ」という。

2年目の昨季の成績は、投打とも1年目を大きく上回った。「オフの成果が今年の結果の全ての要因ではない」と考えているものの、「今オフも昨オフに引き続き、基本的な部分を強化するつもりです」
これは「基本的なところが一番、レベルアップにつながるところだから」だ。

このオフ、各方面から引っ張りだこで、多忙な毎日を送っている。しかし1日トレーニングできる日は、選手寮が隣接する鎌ヶ谷球場の施設を使うなどして「だいたい6時間から7時間はトレーニングをしている」という。気になるメニューについては「1日トレーニングできる日は、ランニングメニュー、ドリル、キャッチボール、バッティング、ウエイトというのがざっくりとした流れです」と教えてくれた。

もちろん、シーズン中の体調管理もしっかり行っている。心がけているのは早寝早起きで、睡眠時間はたっぷり取る。ただデイゲームの次の日がナイトゲームと、たくさん寝られる日も「10時間以上は寝ないようにしている」そうだ。ちなみに、「遠征で枕が変わっても寝られるし、移動の乗り物でもよく寝られるタイプ」とか。食事ではどうしても夕食が遅くなることから、朝昼多めで夜は少なめにしているという。

どんな時も意図通りに操れるストレートが理想

スライダーやカーブなど、大谷は変化球にも定評がある。だが、一番の魅力は何と言ってもストレートだ。並外れたスピードボールを投げられるのは、先天的な部分も大きいようで、「野球を始めた頃から、他の子どもよりもボールが速い自覚があった」と明かす。

球速は花巻東高1年秋に147キロをマークしてからも、順調にアップしていく。2年夏の甲子園では初戦の帝京高戦で150キロを計測。そして3年夏の岩手大会・準決勝(対一関学院戦)では、アマチュア最速の160キロを叩き出す。さらにプロ2年目の昨季は、10月の東北楽天戦で日本投手最速となる162キロを記録した。高校1年秋から実に15キロのアップである。

この理由について大谷はこう考えている。
「高校時代というのは体が未完成なので、そのまま速いボールを投げようとすると、体を壊すことがあります。速いボールを投げられる才能によって、体が潰されるケースもあるでしょう。僕の場合、佐々木 洋監督が僕の成長段階をよく見極めてくれました。無理を強いることなく、大事に扱ってもらえたと今も感謝してるんですが、そうした成長期での指導に加え、筋力が高まったから、高校でもプロでも球速が上がったのだと思います」

ボールを速くしたいと思っている高校生投手は多いだろう。「コントロール重視でいき過ぎるのもつまらないと僕は思いますし、何キロのボールを投げたいと数字を求めてもいいのでは」と大谷はエールを送る。

しかし、その一方でこんなアドバイスもしてくれた。
「速いボールを投げるのに近道はありません。まずは土台作りが重要です。それと、高校時代は一番の成長期なので、普段の練習をしっかりやっていれば、自然にボールが速くなることもある。焦る必要はないと思います」

大谷が速いボールを投げるため、メカニズム的に大事にしているのは「正しい順序で、正しい位置でボールを投げること」だという。
「ただ、それができているかというと、まだできてません。野球のボールは小さいので、芯を正確に叩く作業はものすごく難しいですし、スピードが上がれば上がるほど、正確に叩きにくくなりますからね」

そのため、理に叶った投げ方をしているか、常に1つ1つチェックしているという。
「ピッチングは一連の流れなので、ここがポイントというのはありません。立ち位置から始まって、もう全部ですね」

メジャーの投手の中には、一見、理に叶っていない印象の投げ方をしている投手もいる。これについては「それはケガをしやすい投げ方のように感じるだけで、その人にとっては理に叶っているのかもしれません。基本的な流れはありますが、その人にとって理に叶った投げ方であればいいとも思っています」

理想とするストレートは「空振りをとりたい時に空振りがとれ、ファールを打たせたい時にファールを打たせることができ、見逃しをとりたい時に見逃しがとれるボール」だという。大谷はそう言うと「つまり、こちらの意図通りに操れるストレートです。むろん球速も求めていきたいですが、むしろ、数字に表れないプラスアルファの部分を磨いていきたいと思ってます」と言葉を重ねた。

投打の二刀流は自分にとっては当たり前

スピードボールとともに大谷の代名詞になっているのが、投げて打っての二刀流だ。

傍からするとよくぞ両方も となるが、大谷からすると「それが自分にとっては当たり前…と思っています」とのことだ。
「野球を始めてから、どちらか1つに絞ったことはないですし、僕にとっては両方やるのが普通なんです。高校時代も、単純に野手と投手の練習をやっていて、野手が振り込みならそちらに入り、終わったらブルペンへというのが、日常の練習スタイルでした。どちらかに重きを置いたとか、そういうのもなかったですね」

それにしてもである。昨シーズンは外野手として先発し、試合の終盤からマウンドへ、ということもあった。そうした中、頭の切り替えはどのようにしているのだろう?そう訊ねると、大谷はあっさりとこう言った。
「特にしないですね」

そして
「マウンドに立てば投手の気持ちになりますし、打席に立てば打者の気持ちになります」と続けた。「投げるのも打つのも仕事というよりは、単純に両方とも面白いと思ってやっているだけで、どちらがどうというのは全然ない」という。
「そもそも野球を仕事という意識でやってないですしね」
どうやら深く考えているのは、周囲だけのようだ。

もっとも投手の経験が野手に、野手の経験が投手に生きている部分はあるという。
「野手の方が戦術面をより理解しているところがあるので、それが投手で生かされていますし、投手をしているので、打者になった時に配球を読めたりもします。もっとも、両方やっている大きなアドバンテージは、それぞれの気持ちがわかることでしょうか。精神的な部分ですね」

また、投手として出場しても、野手として出場しても、その日の試合の課題は「その日のうちに消化するようにしている」という。
「今日はこれが良かった、あれが悪かったと書きながら、頭の中を整理しています。僕はシーズン中でも投球フォームを変えるので、その日の感覚も書いて残しておきたいと。僕は高校時代も野球日誌をつけていて、迷った時は過去の日誌を振り返ることもありました」

インタビューの終わりに、将来の目標を披露してもらった。
「将来の目標は これはあくまで…1年1年の積み重ねなので。僕は(高校を卒業してすぐに)メジャーに行きたかったので、世界的なレベルの選手になりたい思いは持っていますが、1年1年頑張って、それに近づければと思っています」

**************

生粋の野球少年は新天地で、きっとわれわれが想像できない活躍を見せてくれるのだろう。

この記事の執筆者: 鎌田 光津希

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