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’23東海地区高校野球10大ニュース!1位は私学4強の一角が達成した快挙!

2023.12.10


打線を牽引した加藤 蒼惟(愛工大名電)

東海地区の高校野球では、今年も多くの好勝負が展開され、さまざまなことがあった。その中で、特に気になった話題や、注目できる話題をピックアップして、10大ニュースとしてまとめてみた。

1. 愛工大名電が、3年連続夏の愛知大会優勝
全国最多の173チームが参加した第105回全国高校野球選手権愛知大会では、愛工大名電が決勝で中京大中京を4対3で下して、3年連続の優勝を果たした。愛知大会での3連覇としては2005~07年の第87~89回大会での同校以来の快挙である。

2000年以降の愛知代表としても、愛工大名電は夏10回目となり、最多である。それだけ、近年は愛知県で愛工大名電が最も戦力を充実させているということであろう。なお、今秋も県大会を制し東海地区大会でも準優勝。夏春連続甲子園出場も有望視されている。

2. 相次いだベテラン名将の勇退
大垣日大を春5回、夏6回の計11回、甲子園出場に導いた阪口慶三監督。前任の東邦時代から合わせると甲子園で通算40勝を挙げ、優勝1回、準優勝3回の実績を誇る。この秋、79歳で勇退を発表した。

また、愛知啓成を率いた中村好治監督も、この夏で勇退して、母校・大体大浪商(大阪)の指揮を執ることとなった。前任の三重高(三重)の監督時代には2014年夏に甲子園準優勝を果たしている。

さらに、至学館を創部時から率いて、2011年夏と17年春に甲子園に導いた麻王義之監督も、定年に伴いこの夏を最後に勇退した。その後の去就が注目されている。こうして、愛知県、岐阜県で名将の勇退が相次いだ。

3. センバツの東海地区出場枠が1枠増
かねてから話題となって、議論の対象にもなっていたセンバツ大会の地区出場校枠。長年、2校となっていた東海地区だったが、第96回大会を前に再編され、21世紀代表枠の1枠減などに伴って、東海地区に1枠が増設されて3校枠となった。従って、秋季東海地区大会では、準決勝での戦い方も、より重視されるようになった。

ちなみに、今秋の東海地区大会は豊川と愛工大名電の「愛知決勝」となったが、宇治山田商(三重)と藤枝明誠(静岡)がベスト4に残って、来春へのセンバツ選考への期待をつないでいる。

4. 豊川が秋季東海地区大会で初優勝
秋季愛知県大会で準優勝を果たした豊川は、東海地区で初優勝した。2位校として出場した東海地区大会、1回戦では神村学園伊賀(三重)にコールド勝ち。2回戦でも、岐阜県1位の岐阜第一にコールド勝ちして勢いづいた。準決勝では宇治山田商にサヨナラ勝ちし、愛工大名電との同県決勝では、最大8点リードを追い上げられながらも、何とか逃げ切って東海地区大会初優勝を果たした。その後の明治神宮大会でも初戦で高知(四国)に逆転勝ちした。

5. 静岡県で新勢力の浜松開誠館が初出場果たす
昨春の県大会を初めて制し、東海地区大会も初優勝した浜松開誠館は、第1シードとして夏も期待されたが初戦敗退した。その捲土重来ともいえる形で、今年の夏の静岡大会を制し、春夏通じて甲子園初出場を果たした。甲子園でも初戦を突破。打線は、各打者が鋭いスイングで、バントをしない強攻野球もさることながら、ダークグレーと赤を基調としたユニホームも含めて、甲子園に強烈な印象を残した。

6. 三重県では、いなべ総合が、復活を示した春夏の優勝
夏の三重大会では、いなべ総合が7年ぶり3度目の優勝を果たし、甲子園出場を決めた。いなべ総合は、春季県大会でも優勝した。尾崎英也監督は、この春季大会優勝の際に、「このところ、ちょっと低迷しているというイメージがあったので、この優勝は大きな自信にもなったし、素直に嬉しい。夏に繋がっていくと思う」と語っていたが、まさにその通りになって、見事に復活を果たした。

7. 市立岐阜商が躍進、15年ぶりの甲子園に迫る
ここ数年、上位校が県立岐阜商大垣日大中京に固定されている感のある岐阜県において、市立岐阜商県立岐阜商との準決勝「岐阜商対決」で、森 楓真投手(3年)が完封して2対0と勝利して決勝進出。決勝でも8回表まで2対1とリードして、2008年以来の15年ぶりの甲子園出場に迫った。8回裏に大垣日大に逆転され届かなかったが、その健闘ぶりは大いに評価された。

8. 愛知県選抜と三重県選抜のチーム同士がシーズンを絞める強化試合実施
三重県と愛知県では、今年から秋季県大会終了後に、両県で優秀選手を選出して、そのピックアップチーム同士の交流戦を開催することが決まった。第1回大会となった今年は、愛知県が主管となって、11月26日に刈谷球場で開催された。愛知県選抜は至学館の麻王義之前監督、三重県選抜はいなべ総合の尾崎英也監督が率いた。2試合行われ、1試合目は三重県選抜が4対2で愛知県選抜を下し、2試合目は6対6で引き分けた。

9. 秋季愛知県大会で東三河勢が躍進
毎年、愛知県大会は名古屋市勢の私学4強と言われる昭和時代からの強豪伝統校が圧倒的に強く、ベスト4を独占することもしばしばある。しかし、この秋の4強は名古屋勢は愛工大名電のみ。東三河勢の豊川東邦を、豊橋中央享栄を下して勝ち上がりベスト4に残った。豊川は準優勝、豊橋中央は3位決定戦で小牧南を下して、ともに東海大会進出を果たした。東三河勢2校が秋季東海地区大会に進出したのは1951年の豊川時習館以来のこととなった。

10. 中京大中京と東邦が創部100年記念試合をバンテリンドームで開催
昭和前期の中等学校野球時代からライバル同士だった中京大中京(中京商→中京)と東邦(東邦商)。その両校がともに創立100年を迎え、11月23日にOBも交えての交流戦を行った。それも、地元プロ野球・中日の本拠地でもある、名古屋市東区のバンテリンドームで開催された。

午前中はOB同士の試合。点の取り合いとなったが、中京大・杉浦 文哉外野手(3年)の右犠飛が決勝打となって、中京大中京OBが6対3で勝った。午後からの現役戦では中京大中京が6対0で勝利した。今後も、さらなる切磋琢磨が期待される。

(文/手束仁)

この記事の執筆者: 手束 仁

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