保冷剤によるアイシングと凍傷【セルフコンディションニングお役立ち情報】
氷を使ったものは凍傷になりにくいが、長時間にわたって使用することは避けよう
ケガをした時の応急処置としてよく知られているのがアイシングです。アイシングにはそれぞれメリット・デメリットがありますが、突然ケガをして腫れてしまったり、強い痛みが続いたりするときは患部を冷却したのちに、医療機関を受診することが鉄則です。この他にも練習後に痛みがある場合や、投球後のコンディショニングとしてアイシングを用いることもあるでしょう。
一般的に患部を冷却する方法としては氷や氷水を使ったものを用いるようにしますが、中には氷がなく市販のアイスパック(保冷剤)などを使って冷却する場合もあると思います。この際、長時間にわたって患部を冷却し続けると、皮膚が凍傷を起こすことがあるので注意が必要です。凍傷は直接皮膚に冷たい刺激(0℃以下)を与え続けることで起こるものだけではなく、血流が滞ることによって起こる二次的な組織障害も含まれます。特にアイスパックは冷凍庫内で0℃以下に保たれていると、その温度が長時間続きやすい特性があるため、直接皮膚に当てることは避け、タオルなどでくるんで用いるようにしましょう。
特に気をつけたいのが「アイスパックを患部に当てたまま寝てしまい、知らず知らずのうちに長時間経ってしまった」というケースです。アイシングを行うときは就寝前などは避け、そのまま寝てしまって放置することのないように注意しましょう。氷は0℃になると溶けるため、比較的凍傷になりにくいと言われていますが、それでも長時間の使用で凍傷を起こしてしまうこともあります。皮膚の色が紫色のように変色したり、チクチクとした痛み、しびれ感などが現れたりしたときは、すぐにアイシングを中止し、ぬるま湯などで時間をかけて温めるようにします。強い痛みや黒っぽく変色したとき、水ぶくれのようなものが見られる場合はすみやかに医療機関を受診しましょう。
また寒い時期、強風や雨天など体温が奪われやすいような環境はアイシングによって全身の体温が低下してしまうため、暖かい場所に移動して行ったり、体を十分に保温した状態で行ったりすることもあわせて覚えておきましょう。
文:西村 典子
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