152キロ左腕・徳山一翔(環太平洋大)、急成長の背景に「ドラフト6人同時指名・徳島ISの育成メソッド」<明治神宮大会・大学の部 注目選手>
10月27日・中四国地区3連盟明治神宮大会代表決定戦での徳山一翔(環太平洋大3年)
15日に開幕した第54回明治神宮野球大会の大学の部で、1人の大学3年生左腕が心に期すものを秘めマウンドに上がろうとしている。
環太平洋大(中国・四国三連盟)の最速152キロ左腕・徳山 一翔投手(3年=鳴門渦潮)。1年春から登板を重ねると、今年は全日本大学野球選手権で最速148キロ、秋のリーグ最終戦では最速152キロをマークした。昨年12月に侍ジャパン大学代表強化合宿にも参加した実力を示した。明治神宮大会第2日目16日の第4試合で東京農業大学北海道オホーツク(北海道二連盟)との対戦を迎える。
徳山は、10月27日、香川県高松市のレクザムスタジアムで広島六大学大学野球連盟覇者の近大工学部、四国地区大学野球連盟の覇者・松山大との巴戦で開催された「中国・四国地区三連盟明治神宮野球大会代表決定戦」で初戦の近大工学部戦に先発した。最速147キロをマークした直球と、130キロ前後のスライダー、チェンジアップを交え、7回89球を投げ4安打5奪三振の好投。チームの連勝と、2年連続7回目の明治神宮大会出場に大きく貢献していた。
鳴門渦潮(徳島)3年当時の立場は、投手陣の3番手だった。そのころは仁木 登真投手(現・中部学院大3年)、鈴木 連投手(現:神戸医療未来大3年)の140キロ超の右2枚看板がいた。最速は135キロ、サイズも175センチ、75キロと決して傑出した存在ではなかった。
しかし、3年夏を終えると徳山は徳島インディゴソックスのトレーニング管理も司っているインディゴコンディショニングハウスで個人トレーニングに取り組むと、一気にサイズと球速が向上した。2年春の段階で元・広島監督の野村 謙二郎氏の弟である野村 昭彦監督が「ひょっとしたらプロ入りもありえる」と評する逸材にまで成長を遂げている。
6月の侍ジャパン大学代表候補合宿を左肘の炎症で辞退し、秋は徐々にイニング数を伸ばしてきた徳山だが「今は大丈夫です」とキッパリ。明治神宮大会へ向けても「まずはチームの勝利が第一だが、敵を圧倒するピッチングをして(2回戦シードの)慶應義塾大(東京六大学)戦でもアピールしたい」と意気込んだ。
気になる進路について「自分としてはプロ一本です」と男らしく口にした。すでに「ドラフト指名の基準が解った」という、12月の侍ジャパン大学代表への2年連続参加も決まっている。野村監督が「もっと走り込みが必要」と指摘するスタミナ面が改善されれば、2024年ドラフトでは目玉的存在にまで浮上しそうだ。