試合レポート

【東京】創価が5回の集中打で日大二を7回コールドで下し、24年ぶりの決勝進出<秋季地区大会>

2023.11.05


<秋季東京都高校野球大会:創価7-0日大二(7回コールド)>◇4日◇準決勝◇神宮
1961年の第33回大会に出場して以来、センバツから遠ざかっている日大二と、2000年の第72回大会以来センバツから遠ざかっている創価の対戦。創価はこれまでと同様に左腕の森山 秀敏投手(2年)を先発に起用したのに対し、準々決勝で優勝候補の二松学舎大附を破り勢いに乗る日大二は、これまで抑えで起用することが多かった宮村 笑琥投手(1年)を先発に起用した。「宮村の調子が上がっていることと、優勝を狙って逆算すると宮村に好投してほしかった」と日大二の齊藤寛文監督は、宮村起用の理由を語る。秋季都大会は基本的に1週間に1試合だが、準決勝と決勝戦だけは連戦になる。それを考えての投手起用であったが、創価は簡単な相手ではない。

宮村は1回、2回は3者凡退に抑えた。しかし3回、この回先頭の7番・井路端 広明捕手(2年)が四球で出塁すると、8番・藤岡 圭太外野手(2年)がバントで送り、9番・小牧 莉央外野手(1年)の中前安打で創価が1点を先制する。「藤岡のバントが得点につながりました」と創価の堀内尊法監督は言う。走者をしっかり進め、得点に結びつける。創価らしい、そつのない攻撃で1点を先制する。4回には6番・小宮 己輝外野手(2年)の本塁打で創価は1点を追加する。

創価はこれまで投手を細かくつないできたが、この試合では森山が好投。「神宮の固いマウンドに合うと思っていました」と創価の堀内監督は言う。森山も「投げやすかったです」と言う。マウンドの相性も良く、森山はスライダーやチェンジアップなどの変化球を効果的に使い、日大二打線を抑える。日大二は4回に安打2本でチャンスを作るが、あと1本が出ず、得点につながらない。

この秋の創価は、1度勢いづくと止まらない集中打が特徴だ。特に打順が2巡目、3巡目となると、しっかり捉えてくる。この試合では5回の攻撃が、まさにそれであった。この回先頭の8番・藤岡が左前安打で出塁すると、9番・小牧のバントは内野安打になる。創価はこうしたチャンスを逃さない。1番・嶋﨑 正秀内野手(2年)がしっかり送って二、三塁とし、2番・中川 俊則内野手(2年)の右前安打で1点。さらに暴投で1点を追加した後、3番・田村 蓮太郎内野手(2年)の中前安打で一死一、三塁となったところで、日大二は宮村から岩本 成生投手(2年)に交代したが、暴投や4番・高橋 球児内野手(2年)の中犠飛などでさらに2点を追加して、創価はこの回一挙に4点を入れた。「あの回にうちの弱さが詰まっています」と日大二の齊藤監督は言う。バントを処理できず内野安打にし、暴投で失点を重ねたこの4点が、勝負を決定づけた。

この大会はずっと先攻だった創価は、この試合は後攻だった。あと1点取ればコールドという7回の創価の攻撃で途中出場の9番・大久保 悠輝外野手(2年)が中前安打で出塁すると、1番・嶋﨑も四球で一、二塁。こうなると創価はしっかり決めてくる。2番・中川の送りバントに続き、3番・田村の左犠飛で7対0。7回コールドが成立した。

両チームを通じて長打は創価の小宮の本塁打の1本だけ。安打数は創価の7本に対して、日大二の5本と大差はない。その分、創価の5回の集中攻撃と点を取るうまさが光った試合だった。それでも日大二佼成学園二松学舎大附をタイブレークで破り、今大会で旋風を巻き起こした。その一方で齊藤監督が「長打力と走塁の質を上げないと」と言うように、上を目指すには不足している点も浮き彫りになった。ただ今後に期待を抱かせる戦いぶりであったことは間違いない。
創価の堀内監督は、松山商(愛媛)の選手として、夏の甲子園で準優勝している。あと1勝でセンバツはぐっと近づくが、「意識させないようにします」と堀内監督は言う。特に目立つスター選手がいるわけではない。けれども選手1人1人の質が高く、スキがない。関東一との決勝戦は、試合巧者同士の一戦になる。今年の東京の公式戦を締めくくる一戦として、質の高い戦いを期待したい。
取材・文=大島裕史

この記事の執筆者: 大島 裕史

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