試合レポート

【神宮大会・代表決定戦】富士大 vs 東北福祉大

2023.10.22


富士大の3年生左腕・佐藤柳之介が雨中の快投!東北福祉大下し決勝進出

<明治神宮野球大会東北地区大学野球代表決定戦:富士大3-1東北福祉大>◇21日◇1回戦◇弘前市運動公園野球場(はるか夢球場)
明治神宮野球大会の出場権をかけた東北地区大学野球代表決定戦が開幕した。富士大(北東北大学野球連盟準優勝)が、東北福祉大(仙台六大学野球連盟優勝)を3対1で破り、決勝進出。富士大は八戸学院大(北東北大学野球連盟優勝)と、東日本国際大(南東北大学野球連盟優勝)の勝者と決勝で戦う。

富士大は0対0で迎えた5回、東北福祉大の2失策につけ込んで3点を先制する。投げては左腕・佐藤 柳之介投手(3年=東陵)、右腕・安徳 駿投手(3年=久留米商)のリレーで相手の反撃を1点に抑え、接戦をものにした。
富士大の先発・佐藤は7回3安打無四球11奪三振無失点と快投した。5回2死までは走者を1人も出さない完璧な投球。6回は先頭打者に安打を許すも、3者連続空振り三振でしのぎ、7回は2死二塁と、この日初めて得点圏に走者を置いたが、ここも好打者・石井 寛人内野手(3年=明秀日立)を3球三振に仕留めて本塁を踏ませなかった。

佐藤は試合後、「できすぎです」と笑顔。「リーグ戦が終わってから、初回の入りに気をつけることと、四死球を減らすことを意識して調整してきた。球威よりもコントロールを重視してフォームを見直したので、四死球がなかったことが一番の収穫」と冷静に振り返った。2桁奪三振は大学入学後の公式戦では初。安田慎太郎監督も「過去一番。今日はピッチャーに尽きると思います」と左腕を称えた。
最速147キロの伸びのある直球が最大の武器で、特に走者を出した6、7回は直球で押す場面が目立った。変化球は5種類あり、序盤はキレのあるスライダーやカットボールも駆使して、東北福祉大打線を手玉に取った。雨が降り続く悪条件の中、持ち味を存分に発揮した。

3年春までは目立った実績を残せていなかったものの、今年6月の全日本大学野球選手権で“ブレーク”。初戦の創価大戦で6回無失点と好救援し逆転勝利を呼び込むと、準々決勝の大阪商業大戦でも5回無失点と試合をつくり、チームの4強入りに貢献した。また今秋のリーグ戦は4試合で先発起用され、防御率1.27で初のタイトルとなる最優秀防御率賞を獲得。着々と成長を続けてきた。
佐藤自身、全日本選手権で好投したことで自信を手に入れた。「坂本(達也捕手、3年=博多工)のミットめがけて思い切り投げれば抑えられる」。同時に相棒への信頼も増した。この日も坂本を信じ、1度もサインに首を振らなかった。全国の舞台で得た経験は間違いなく今に生きている。

八戸学院大と東日本国際大の一戦は雨天の影響で22日に順延となった。それに伴い、決勝は23日に順延。富士大はリーグ戦準優勝で、決勝の対戦相手には1勝のアドバンテージが与えられるため、あと2勝しなければ神宮切符をつかむことはできない。佐藤は決勝に向け「また投げる機会があれば0に抑える」と誓った。
東北福祉大は5回の2失策が響き、悔しい敗退。それでも、先発した北畑 玲央投手(4年=佐久長聖)を含む4投手の継投で被安打を3に抑え、持ち前の投手力は光らせた。3年生以下の選手たちは来年、雪辱を期す。
(取材=川浪康太郎)

この記事の執筆者: 田中 裕毅

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