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中日が「投手大豊作」でも「野手を1位」にすべきこれだけの理由 有利なウエーバー順をどこまで利用できるか 地元・愛知の逸材の指名順位にも注目

2023.10.20


さまざま話題が世間をにぎわせた中日ドラゴンズ。4年ぶりに観客動員数が200万人を超えたが、結局は2年連続の最下位に終わった。ドラフトではどんな指名をすればいいのか。まず退団者の顔ぶれはこちら。

退団・ソイロ・アルモンテ外野手
退団・アリスティデス・アキーノ外野手
引退・谷元 圭介投手(稲生出身)
戦力外・松田 亘哲投手(江南出身)※
戦力外・岡野 祐一郎投手(聖光学院出身)
引退・大野 奨太捕手(岐阜総合学園出身)
引退・福田 永将内野手(横浜出身)
引退・堂上 直倫内野手(愛工大名電出身)
戦力外・伊藤 康祐外野手(中京大中京出身)
※は育成選手

ベテラン4選手が引退し、外国人2選手が退団。中堅の岡野、若手の伊藤、松田が戦力外となり計9名の退団が決定している。ドラフト次第で、第二次戦力外通告も行われるだろう。

数字は悪いが若手の有望株が多い野手陣、その逆の投手陣

チーム打率.234、総得点398と打撃面はダントツで最下位。一方でチーム防御率3.08はリーグ2位だ。数字上では投高打低がはっきりしているのだが、じつは若手の野手陣は充実している。

有望野手をあげていこう。高卒4年目の石川 昂弥内野手(東邦)は13本塁打を記録。高卒3年目で114試合出場の龍空内野手(土田 龍空近江)は守備を高く評価されている。昨年の最多安打王で今年も163安打を放った岡林 勇希外野手(菰野)は21歳だ。

21年ドラフト1位のブライト 健太外野手(都立葛飾野-上武大)は二軍で打率.307、7本塁打を放ち、24歳の鵜飼 航丞外野手(中京大中京-中京)は二軍で打率.287、7本塁打。この2人は一軍で実力を発揮するだけだ。

加えて現役ドラフトで獲得した細川 成也外野手(25歳・明秀日立)は24本塁打、78打点を記録。こうしてみると中日の野手は人材が揃っている。編成部も、貧打克服のためにしっかりと手を打っているのが分かる。

一方、投手陣では小笠原 慎之介東海大相模)、柳 裕也横浜-明治大)、髙橋 宏斗中京大中京)のドラ1の3人がローテーションに定着したため、順調なように見える。しかし、二軍の防御率はウエスタン最下位の防御率4.17なのだ。1人1人の若手投手、中堅どころの成績を振り返ると、ため息が出るものばかりだ。

投手、野手の人材のどちらが人材不足かといえば、投手陣だと断言できる。今年は大学生を中心に投手の逸材が多い1年なので、投手を多く指名したいところだ。とはいえチームの打撃成績が悪いのも事実。上位で打撃力の高い即戦力野手も欲しい。

ドラフト候補投手は質量ともに豊富、ならば…

度会隆輝(ENEOS)

投手も野手も欲しい中日。ならば競合必至の大学生投手たちを避け、単独で取れそうな野手を確実に1位で指名し、2位で質量ともに豊富な投手を獲る、という戦略が現実的ではないか。というのも、今年のドラフトのウエーバー選択順はセ・リーグからになるため、中日は2位を真っ先に指名できるのだ。

1位候補は、即戦力型の強打者タイプの以下3名がおすすめだ。

身体能力、打撃技術が非常に高い度会 隆輝外野手(横浜-ENEOS)、東京六大学通算10本塁打、71打点の上田 希由翔内野手(愛産大三河-明治大)。細川に加え、右のスラッガーで厚みをもたせるのならば、東京六大学通算19本塁打の廣瀬 隆太内野手(慶應義塾高-慶應大)だ。

享栄・東松は「小笠原級」の逸材だ

東松快征(享栄)

 

2位は地元の愛知大学リーグの最速156キロ右腕・岩井 俊介投手(京都翔英-名城大)もいるが、あえて高校生を推したい。地元・享栄の東松 快征投手だ。

最速152キロの速球の剛腕投手とみられているが、フォーク、チェンジアップ、カーブ、夏の大会前にマスターしたカットボールを操る器用な一面もある。

6月1日、バンテリンドームで開催された大阪桐蔭との招待試合では、5回無失点の快投を披露。ネット裏やカメラ席で東松の投球を見ていると、マウンドに馴染んでいる様子だった。1年後、プロのユニフォームで投げてる姿が目に浮かぶようだった。現在の左のエース・小笠原の高校時代と比較しても、負けていない。

ほかにも今年の愛知には、速球は右腕がいる。148キロ右腕・天野 京介投手(愛産大工)、149キロ右腕・宮國 凌空投手(東邦)、147キロ右腕・清水 凰史投手(愛知啓成)、148キロ右腕・黒野 颯太投手()らである。中日が彼らを指名するのかも注目したい。

また、今年は育成の松山 晋也投手(野辺地西高-八戸学院大)が支配下登録となり、36試合登板、防御率1.27を記録した。今年は大学、独立リーグにパワー型の右腕が多い。そういう投手を下位指名、育成でも確保したいところだ。担当スカウトの腕の見せ所になるだろう。

繰り返すが、中日はドラフトの指名順番的に非常に有利。1,2位で他球団が羨むような選手を指名できるか。

 

文/河嶋宗一(編集部主筆)

この記事の執筆者: 河嶋 宗一

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