試合レポート

【茨城】準々決勝 竜ヶ崎一 vs 水戸工

2023.09.27

水戸工が序盤に得点を重ねて竜ヶ崎一を下してベスト4

<第76回秋季関東地区高校野球茨城県大会:水戸工10-3竜ヶ崎一(8回コールド)>◇27日◇準々決勝◇J:com土浦スタジアム

2000年春を最後に甲子園から遠ざかってはいるものの、米騒動で大会が中止になった第4回大会(1918年)に初出場を果たして以降、大正~昭和~平成と茨城県の高校野球を引っ張ってきた存在でもある竜ヶ崎一。県内球界に多くの人材を輩出してきたことでも知られている。川井政平監督も同校出身で甲子園にも出場している。また、前任の石岡一監督時代には2019年に21世紀枠代表として甲子園にも導いている。この秋の県大会ではここまで勝田工、シードの下館工を倒してきた。

水戸工も、かつて1963年夏に甲子園出場を果たしている、茨城県を代表する伝統の工業高校の1つである。近年は、時代の流れの中で、部員確保もやや厳しい状況も続いてはいるが、頑張って活動している。この秋は、太田一とシードの藤代を下してのベスト8進出となった。

水戸工は初回、1死から中井が左前打すると、連続四死球で満塁。ここで5番・永山が左前打して、まず1点先取して、さらに暴投があって2点目。水戸工としては、思わぬ形でいい試合の流れをつかんだ。

2回にも8番・吉田が右前打で出ると、堪らず竜ヶ崎一の川井監督は一塁手の鈴木 心地と先発左腕・酒井を入れ替えた。何とか水戸工の勢いを交わしていこうとしたのだけれども、バントは失敗となったものの、1番・仲田が中前打。バントで送った後に2死二、三塁から3番・高村主将が中前打でさらに2点を追加した。3回にも水戸工は四球の走者を進めて、2死三塁から8番に入っている𠮷田の内野安打などで満塁として、押し出しで1点を追加した。

水戸工打線は、コンパクトに振り切ってパチンパチンとセンター返しに徹していた。こうした繋いでいく打線が生きていた。

竜ヶ崎一は4回に1死二塁から3番・黒岩の中前打で1点は返したものの、5回には水戸工が、竜ヶ崎一3人目となった野口から2番・中井の適時打や3番・高村の三塁打などでこの回4点。試合前には、予想だにしなかった展開となって水戸工が大量リード。コールドゲームも視野に入る状況になってきた。

竜ヶ崎一は6回、2つの失策絡みで何とか2点を返して7回コールドは逃れられるスコアとしたものの、水戸工の勢いは衰えなかった。7回から、再登板していた鈴木に対して8回、先頭の4番・河野が左中間へ二塁打すると、バントで進め、6番・飯嶋が右前打して10点目を奪った。そして、その裏を吉田がしっかりと投げて、8回コールドゲームが成立した。

吉田としては、「四球が失点につながってしまっていたので、必ずしもベストとは言えません。そのあたりは反省点です」と言いつつも、「みんなが引っ張っていってくれたので、思い切って投げ切れたと思う」と、1年生エースはここぞというところでカーブを勝負球として使い、終わってみたら4安打3失点という内容だった。

坂本隆監督は、「これという特徴があるわけではないのですけれども、崩れそうで崩れないという投球で、打たせて取るという自分の投球はできていたのではないでしょうか」と、吉田を評価していた。また、打線に関しては「短く持ってコンパクトに振っていこうという意識を徹底してくれた。狙い球というよりも、自分で打てると思った球が来たら思い切って積極的に行こう」と、いうことに徹した成果が出たようだった。

竜ヶ崎一は実は、前日は球技大会のクラスマッチがあったということだった。「今日の試合があるから、熱くなりすぎないようにというようなことは言っていたのですが、教員としては、(クラスマッチは)適当にやりなさいということは言えませんからね(苦笑)。そんな疲れというか、気持ちも整理でききれていなかったのかもしれませんね」と、ベスト4進出を逃して残念がっていた。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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