試合レポート

【静岡】1回戦 富士 vs 清水桜が丘

2023.09.10


中盤を凌いだ富士が、後半にリードを広げて清水桜が丘を下す

<第76回秋季東海地区高校野球静岡大会:富士6-3清水桜が丘>◇9日◇1回戦◇県営愛鷹

前日の台風が通り過ぎて、無事予定通り開催されることができた静岡県大会。この日からの開催である。

この秋から、静岡県は県大会出場のシステムが変更された。ブロック予選の1回戦は一発勝負の初戦で敗れると、敗者復活がない。そんな中で、静岡静岡商掛川西などの名門が初戦で姿を消している。

1つもしくは2つ勝って代表決定戦に進出すると、敗れても敗者復活戦に回ることができる。そこで勝てば、県大会進出となる。より多くのチームを県大会出場させていこうということで、この形になったという。

代表決定戦で加藤学園に完敗した富士富岳館、乱戦で榛原に敗退した清水桜が丘島田工をともに敗者復活戦で下して、勝ち上がっての県大会進出となった。

富士は夏のメンバーから多く入れ替わっているが、ある程度は経験のある左腕・遠野投手が先発した。しかし、立ち上がりにやや制球が乱れて連続四球を与えてしまった。清水桜が丘は犠打で1死二、三塁とした後、4番・小笠原が中前へはじき返して2者をかえして幸先よく2点を先取した。

しかしその裏、富士もすぐに反撃する。1死後、四球と平田の安打と、暴投で二、三塁とすると、2死二、三塁から、飛球失策というラッキーな形で同点となった。

2回にも富士は8番・藤田 啓世の右中間二塁打と、西の安打で一、三塁として、スクイズでリードする。

これに対して、清水桜が丘も4回、川口と小笠原という中軸の連打で一、二塁として、バントで進めて1死二、三塁。内野ゴロで三塁走者をかえして同点とする。こうして、お互いほぼ互角の攻防を繰り返しながら、同点のまま、試合は後半勝負という展開になっていった。

6回、相手の表の攻撃を3者凡退で抑えた富士。その裏、先頭の9番・西が左翼へ二塁打するとバントで進め、2死となってから、3番・平田が左越え二塁打して三塁走者をかえして再びリードを奪った。

さらに8回にも富士は、1死から1番・赤池が中越え二塁打すると、続く末高も左中間に落として二塁走者をかえす。なおも、1死一、三塁から、重盗を決めて突き放した。

富士の稲木恵介監督は、「遠野は、立ち上がり硬かったのかどうか…。加藤学園の時もそうだったんですけれどもね。連続四球で2点は覚悟しました。とにかくアウトカウントを取っていこうということにしました。すぐ裏に、ラッキーで追いつけたのはよかった」と初回の攻防を振り返っていた。そして、このチームに関しては、「打てないので、場面ごとに、得点を取れるときは取っていこうということでスクイズもやりました。8回の重盗は、何度も練習してきたことなので、決められてよかった」と喜んでいた。

進学校でもあり、練習条件や環境も厳しいところもあるので、「目の前のプレーの一つひとつをしっかりと決めていこうということで、そんな意識でやっています」ということだが、練習でやってきたことの成果は出せたかなというところのようだ。

6回に決勝打を放った1年生の平田は、「投手が頑張っていたので、何とか楽にさせてあげないといけないなという思いで打席に立ちました」という気持ちだったという。打球は、本人としては「もっと伸びるかなとも思った」という好打だったが、相手左翼手の頭の上をわずかに越えていった。

清水桜が丘は2013年に清水市立商と庵原が合併してできた学校だ。5年前には、秋季県大会で決勝まで進出して、東海地区大会まで進出した実績もある。この日は、敗れはしたものの、攻守にしっかりと練習を積んできているチームだなという印象は十分感じさせた。

取材=手束 仁

この記事の執筆者: 田中 裕毅

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