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アイシングをしすぎるとどうなる?

2023.09.08


投球後に肘のアイシングをするときは時間を短めに設定しよう

 

 ケガをした時の応急処置や投球後のケアの一つとして用いられるアイシングですが、痛みや腫れなど炎症症状を抑えるメリットがある一方で、頻度や時間などを適切に設定しないと、患部にデメリットをもたらすリスクがあると言われています。

 長時間のアイシングによる弊害について考えてみます。皆さんは練習後にアイシングを行ったままついウトウトしてしまったという経験はないでしょうか。たとえば足首の捻挫をした後に、患部をアイシングしたまま寝てしまって凍傷を起こすといったケースです。一般的にアイシングは15分~20分程度を目安として行うことが推奨されていますが、これはアイシングの及ぼす効果が皮下1cm程度に限られており、30分以上冷やしてしまうと今度は運動機能が一時的に低下することによって、新たなケガを誘発してしまったり、凍傷などのリスクが高まったりすることが考えられるからです。

 この他にも「冷やし過ぎ」によってしびれや一時的な筋力の低下など、神経の機能不全による影響も考えられます。特に体の表層近くに神経の走行があるような部位は、アイシングの時間を15分よりもやや短めにとどめておく(10分程度)ことが望ましいとされています。具体的な部位としては表層部に尺骨(しゃっこつ)神経の走行がある肘の内側部、腓骨(ひこつ)神経が近くにある膝の外側部、正中神経が近くにある手関節の手のひら側部、後脛骨神経が近くにある足首内側部などです。温度についても10℃以下で行うと神経の機能不全や凍傷のリスクが高まるため、市販の冷却剤によるアイシングはなるべく避けること、またやむを得ず使用する場合は直接皮膚にあてるのではなくタオルで覆う等、冷やしすぎないように注意しましょう。投手はコンディショニングの一つとして肘をアイシングすることがあると思いますが、肘の内側を冷やす場合は氷や氷水を用いて短い10分程度にとどめておき、何度か繰り返し行うことがより安全に患部を冷却することにつながります。

 アイシングを行うことそのものは痛みや炎症を抑えることが期待できるため、ケガをした時などには積極的に用いたいケアの一つですが、一度患部を冷やしたらその倍の時間以上をあけて繰り返すこと(たとえば15分アイシングをしたら30分以上あける)等、時間と温度に気をつけて行うことを覚えておきましょう。

文:西村 典子
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この記事の執筆者: 田中 裕毅

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