1回戦 文教大付 vs 佼成学園

＜秋季東京都高校野球大会：佼成学園12－0文教大附（5回コールド）＞◇2日◇1回戦◇佼成学園

9人ギリギリで試合に臨む文教大附にとって、佼成学園は大きな壁になった。佼成学園は1年生を積極的に起用した。先発の背番号11の熊谷 憲祐も1年生。けれども、台風の影響を受けたお盆の時期に関西遠征をし、天理（奈良）との試合で熊谷は3回を無失点に抑えた。佼成学園の投手陣で天理に得点を与えなかったのは熊谷だけで、藤田直毅監督が期待する投手だ。

その熊谷は立ち上がりから快調な投球を見せた。最速137キロの直球に、スライダー、カーブ、チェンジアップを投げ分け、文教大附打線を翻弄する。1回、2回はそれぞれ奪三振2。3回は3者連続三振に抑える。4回は1個にとどまったものの、4回で奪三振8。三振以外は遊ゴロという完璧な内容で、1人の走者も出さない。

攻撃面では2回に押し出しで先取点を挙げた後、9番・堀田 大翔の内野安打で1点を追加。3回には1死二、三塁から古賀 涼太の二塁打で2点を追加すると、1番・元山 航太の2点適時二塁打に敵失も絡んで、この回一挙7点を入れる。4回も7番・原島 響の二塁打などで3点を追加。5回を抑えればコールドで、熊谷は参考記録ながら完全試合が成立する。

しかし佼成学園は投手を1年生の山崎 弘睦に交代。できるだけ多くの選手に公式戦を経験させることを選択した。文教大附は、山崎から2本の安打を放ち、完全リレーを阻止した。それでも得点を挙げることができず12対0の5回コールドで佼成学園が勝った。

熊谷は5回も「投げたかったです」と言う。もっとも熊谷自身による、この試合の投球評価は70点。「真っ直ぐが高めに浮きました」というのが、減点の要素だ。その熊谷に「交代してすまなかった」と謝る藤田監督。この関係性がこのチームの良さでもある。次は都大会出場をかけて大森学園と対戦する。1次予選にして大一番になる。