試合レポート

1回戦 海城 vs 大森学園

2023.09.02

<秋季東京都高校野球大会:大森学園10-2海城(7回コールド)>◇2日◇1回戦◇佼成学園

秋季大会といっても、真夏の暑さの中で試合が行われた。佼成学園会場、最初の試合は昨秋16強の海城とこの春16強の大森学園という好カード。とはいえ、新チームを結成して最初の公式戦。両チームとも硬さはある。

大森学園の先発は1年生の浅野 来輝。緊張感が続いたまま、海城の1番・大塚 麟太郎に右前安打を打たれる。海城としては大事に攻めたいところだが、2番・中川 魁琉のバントは一飛になり、チャンスを広げられない。2回も海城はこの回先頭の5番・森居 壮太郎が中前安打で出塁するが、6番・星明 清のバントはまたも一飛となる。「大事につないでいこうというところで、ミスが出てしまいました」と海城の梶徹監督は言う。

こうなると流れは大森学園に行く。海城は投手陣に故障が相次いだこともあり、背番号4の小坂 寛樹が先発。初回を3者凡退に抑えたものの、2回1死後、大森学園は5番・川澄 龍聖、6番・堀田 漣之介の連打で一、三塁とし、堀田の盗塁で二、三塁。ここで7番・鹿内 琉輝亜が中前安打を放ち2人が生還する。

それでも大森学園の先発・浅野の硬さはなくならず、3回もこの回先頭の9番・一宮 大輝を死球で出す。しかし一宮は牽制で刺される。けれども海城の梶監督は、「行けたら行く、という前向きなメッセージです」と言う。牽制死は積極的に仕掛けようという姿勢の表れだ。実際その後、四球が2つ続いた後、3番・伊藤 遼の中前安打が出て1点を返す。

海城としてはさらに反撃に出たいところであったが、大森学園は3回の、1番・荒川 圭吾が本塁打を放ち突き放す。さらにこの回、3本の安打で2点を追加する。それでも海城は4回に森居、星の連打に、7番・高橋 咲起の一ゴロの間に森居が生還して1点を返す。

4回、大森学園の攻撃を3者凡退に抑え、海城に流れが向かうかとも思われたが、大森学園は5回から藤井 柊斗をマウンドに送る。キレのいい直球とチェンジアップで海城打線を翻弄する。捕手の堀田も「テンポもよく、変化球も低めに集まっていました」と評価する。藤井は3回を投げて、1人の走者も出さないパーフェクトピッチング。これで試合の大勢は決まった。

大森学園は、5回、堀田がこの試合3本目の安打となる二塁打を放つなど3点を追加。6回は2番・琴尾 寧央の三塁打、4番・佐藤 克の二塁打などで2点を追加して10対2とし7回コールドが成立した。

海城としては、投手陣の故障に加え、夏までは3年生中心のチームだっただけに経験不足もあった。「一つ一つ覚えていくしかありません」と梶監督。これからの長い秋に、しっかりチームを作っていくに違いない。

大森学園は、3回をしっかりと締めた藤井の力投が大きかった。投げている時は、帽子のひさしの影で気付かなかったが、顔がかなり白い。聞くと日焼け止めをしているそうだ。この夏の甲子園では慶應義塾(神奈川)の「美白王子」丸田 湊斗外野手(3年)が話題になったが、藤井もやはり、日焼け止めをすることで、疲労を防ぐ効果があると言う。高校球児も変わりつつある。

大森学園は、次は都大会出場をかけて佼成学園と対戦する。大森学園は昨秋、佼成学園に敗れている。それだけに「勝たなければなりません」と堀田。1次予選で対戦させるのはもったいない、好カードであることは確かだ。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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