試合レポート

上尾vs川口市立

2023.07.14


Cシード・上尾が川口市立相手に4点差逆転!2番手・藤村、投打の活躍で初戦突破!

<第105回全国高校野球選手権埼玉大会:上尾6-4川口市立>◇12日◇2回戦◇県営大宮

 この日の最高気温38度のなか、県営大宮球場の第1試合はCシード・上尾vs川口市立である。

 先発は上尾飯島 恒太投手(2年)、一方の川口市立水澤 和之投手(3年)と両エース左腕が登板し試合が始まる。

 試合前半は川口市立ペースで試合が進む。

 先制したのは川口市立であった。川口市立は初回、上尾・飯島の立ち上がりを攻め、1死から2番・原田 幹大内野手(3年)が中前安打を放ち出塁すると、続く飯田 晴希外野手(3年)が左翼線へ二塁打を放ち1死二、三塁とする。ここで4番・西澤 剛内野手(2年)が左中間へ適時二塁打を放ち幸先良く2点を先制する。

 川口市立は4回にも、この回先頭の清水 優太投手(3年)が右中間へ安打を放ち出塁すると、1死後代打・篠田 大成内野手(2年)が右前安打を放ち1死一、二塁とする。ここで9番・新井 瑛硯外野手(3年)がきっちりと送り2死二、三塁とすると、続く鈴木 煌磨外野手(3年)が中前2点適時打を放ち早くも4点差をつける。

 上尾はたまらず先発の飯島から2番手の藤村 美輝投手(2年)へスイッチする。

 試合は川口市立のペースで進んでいると思われたが、上尾はここから反撃を開始する。

 上尾は5回、この回からマウンドに上がった2番手・清水の立ち上がりを攻め、この回先頭の藤村が一塁線を破る二塁打を放ち出塁すると、続く北内 青空内野手(3年)の犠打が内野安打となり無死一、三塁とする。さらに一走・北内がすぐさま二盗を決め無死二、三塁とチャンスを広げると、1番・岡安 陽向外野手(3年)も四球を選び無死満塁とする。ここで続く加藤 遥斗内野手(3年)の内野ゴロの間にまず1点、さらに3番・香川 温大外野手(3年)が四球を選び1死満塁とし、続く屋代 剛志内野手(2年)の内野ゴロで2点差とする。

 上尾は6回にも、この回先頭の芳賀 亮太内野手(3年)が右前安打を放ち出塁すると、続く小野 麟太朗捕手(2年)がきっちりと送り1死二塁とする。ここで8番・藤村が右中間へ適時二塁打を放ち1点差とする。

 上尾は1点差に迫った7回、6回途中からマウンドに上がった3番手の左腕・飯出 裕己投手(2年)に対し、この回先頭の香川が左前安打を放ち出塁すると、続く屋代も右中間へ二塁打を放ち無死二、三塁とする。

 川口市立はここで、飯出から4番手・田中 慎太郎投手(2年)へスイッチするが、1死後、6番・芳賀の内野ゴロで三走・屋代は三本間に挟まれるが、挟殺プレー時に捕手の三塁送球が三走・屋代と重なり悪送球となる。屋代は本塁へ生還し同点とすると、さらに1死一、三塁から続く小野のスクイズが野選となりついに上尾が5対4と逆転に成功する。

 上尾打線はその後も攻撃の手を緩めず、続く藤村が四球を選び1死満塁とすると、川口市立ベンチは田中から5番手にワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でも活躍したオリックス・宇田川 優希投手(八潮南出身)の弟・宇田川 健投手(2年)へスイッチするが、上尾は2死満塁から1番・岡安が押し出しの四球を選び6対4とする。

 投げては上尾の2番手・藤村が5.1回を3安打無失点に抑える好投を披露する。

 結局、上尾川口市立相手に6対4と大逆転勝利で初戦を突破した。

 川口市立にとって、ポテンシャルの高い選手が多かっただけにここでの敗戦は痛恨であろう。「中の3人が自分のピッチングができなかった」と、鈴木監督は試合後、嘆いていた。飯島を攻略するところまでは良かったが「飯島君の対策はできていたんですが、藤村君は話には聞いていたが想定外だった。丁寧に投げていた」と、その後封じられたことが大きかった。また、勝負どころでミスも出てしまった。「投手陣は飯出、田中と厚いと思うので、新チームでは投手陣の中心となれるよう練習から引っ張っていきたい。そして最終的には兄のようになれるようになりたい」と宇田川。幸い西澤、宇田川を中心とし元々潜在能力も高い2年生も多くいるだけに秋以降の巻き返しに期待したい。

 一方、上尾のエース飯島について高野監督は「あんな飯島見たことないというくらい球が行かなくて」と誤算であった。それでも「相手が強いのはわかっていたので、暑さもあって、今日は死闘になるぞ」と、厳しい展開も選手達に発破をかけた。何といってもこの日の投打のヒーローは秘密兵器・藤村である。「暑さもあって本調子ではないが、あれ以上点を取られると厳しくなるので一人一人抑えて攻撃に繋げようと」と藤村。劣勢の中、1点も与えられない状況でマウンドに上がり、相手打線の勢いを止め、打撃でも2安打1打点と逆転に貢献した。とはいえ、上尾のエースは飯島である。「球が浮いて、ストライクを取りに行く形で。最悪って言いたいくらい。次は貢献できるように」と飯島は、試合後反省仕切りであったが、もちろん2年生だけに、発展途上である。今後も花咲徳栄との練習試合で9回途中を3点に抑えた藤村と切磋琢磨しながら調子を上げていくはずだ。

この記事の執筆者: 田中 裕毅

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