試合レポート

狭山清陵vs深谷商業

2023.07.18


狭山清陵・八巻 VS 深谷商・鈴木、最速140キロ超投手の直接対決!

<第105回全国高校野球選手権埼玉大会:狭山清陵4ー2深谷商>◇16日◇3回戦◇県営大宮

 最高気温39度、県営大宮の第2試合は最速147キロ右腕・八巻 弓真投手(3年)を擁するCシード・狭山清陵と 、最速143キロ右腕・鈴木 百太投手(3年)を擁する深谷商という好投手対決である。

 先発はその狭山清陵・八巻と深谷商・鈴木。両エースが登板し試合が始まる。

 まず序盤から存在感を出したのは狭山清陵・八巻であった。1、2回のアウトは全て三振。春に比べアベレージのスピードが上がった直球に変化球を交え、深谷商打線に対し三振の山を築く。

 一方の深谷商・鈴木は打たせて取る投球がメインで狭山清陵を封じる。

 先制したのは狭山清陵であった。

 狭山清陵は3回、1死から9番・本多 康義外野手(3年)が四球を選び出塁すると、本多はすぐさま二盗を決める。続く森谷 桂士郎外野手(3年)も四球を選び1死一、二塁とする。ここで2番・鈴木 弾士郎内野手(3年)がきっちりと送り、2死二、三塁とチャンスを広げると、続く八巻が中前適時打を放ち、狭山清陵は幸先良く2点を先制する。

 対する深谷商の反撃は6回であった。

 深谷商はこの回ややボールが高くなった狭山清陵・八巻に対し、先頭の鶴谷 武尊外野手(3年)が四球を選び出塁すると、続く髙橋 琉音内野手(2年)がきっちりと送り1死二塁とする。2死後、4番・鈴木も四球を選び1死一、二塁とすると、続く横山 大河捕手(3年)が中前適時打を放ちまず1点、さらに6番・関口 凛斗(2年)も左翼線へ適時二塁打を放ち2対2の同点とする。

 エース八巻を立てながら追いつかれた狭山清陵はその裏、これまで深谷商・鈴木の前に1安打に抑えられていた打線にスイッチが入る。

 この回登板時に足が攣った深谷商・鈴木に対し、狭山清陵は1死から八巻が左中間へ二塁打を放ち出塁すると、続く井上 尚之内野手(3年)が左翼線へ適時二塁打を放ちまず1点、さらに2死後、6番・肱黒 統士内野手(3年)も右前適時打を放ち、すぐに4対2とする。

 投げては狭山清陵・八巻が深谷商打線に対し6回2失点でまとめると、7回からリリーフした鎌田 結葺斗投手(3年)も3回1安打無失点と危なげない投球を披露する。

 結局、狭山清陵深谷商に4対2で競り勝ち4回戦へ進出した。

 狭山清陵は、持ち味である打線は未だ本来の力を発揮できてない。「打線が課題なんですがポイントが合っていない。速い球に打ち遅れないことを意識していたんですが、鈴木君は良い球が来ていたので。6回は逆転されずに同点で収まったので。その裏はバスターでボールをよく見ようと。今日はあまり打てなかったので空いた期間で準備します」(鈴木監督)と、本来の打撃を取り戻すべく調整を重ねる。ただし、投手陣は万全の状態だ。
「制球を修正しつつ、多少鈴木君を意識する部分もありました。打ったんですが打たれたんで痛み分けです。あくまで自分のピッチングを意識することができた。一戦一戦戦って強豪私学を倒せるように。最終的にはプロを目指しています」と八巻も野心を覗かせる。彼が今大会どこまで勝ち進みどんな成長を遂げるのか。改めて注視していきたい。

 一方、深谷商の選手達は力を出し切ったのではなかろうか。とにかくエース鈴木が足を攣りながら良く投げた。

 鈴木は「結成最初は弱いところに勝てればいいかなって思っていたんですが、だんだん公式戦で勝てるようになって、強い高校とも戦えるようになった。今日は負けてもみんなスッキリした感じで。新チーム結成当初のことを考えると、夏Cシードを相手にここまでできるようになるとは僕も含めて思っていなかったんで。これまでチームメートに集中力を切らさないよう、練習中はキツいことを言ってきたので、その僕が退くわけには。僕がいなくなったら試合にならないんで。1試合であそこまで対応されたのは八巻君が初めてかも。基本は大学ですが行ければプロで」と、過去を振り返りつつ最後まで意地を見せた。この高校時の経験は必ずその後の人生に生きてくるはず。

 好投手対決は互いの意地も見られ互いに安打を打つなど前評判通りの貴重な対戦となった。また、上のレベルで見てみたい対決である。

この記事の執筆者: 田中 裕毅

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