山川穂高を覚醒させた先輩の一言 松本剛の大ブレークの意外なきっかけとは?
山川 穂高 ※写真は2020年キャンプより
西武・山川 穂高内野手(中部商出身)は、2022年シーズン3度目のホームラン王を獲得した。2017年に293打席で23本塁打を放つ。この2017年の試合が転機だった。
8月1日の楽天戦。4回裏、無死二塁のチャンスで打席に立った山川は、「ベンチからのサインは無しだった。それでなぜかライト前ヒットを打とうと思った」という。「失敗してもランナーが三塁に進める。僕は余計なことを考えた」と、当時を回想した。
その言葉通り、この場面で平凡な遊ゴロを打ってしまい、みすみす相手に1アウトを献上する形となった。考えが空回りした打席を、「『何やってんだろう』ってめっちゃ反省していた」という。
すると、その翌日に当時チームメートだった渡辺 直人から、「バカか!何やってんの!?」と怒られたという。渡辺は「そんな右打ちとかは俺たちがやるんだよ。お前はホームランを打てばいいんだよ」と喝を入れた。
その言葉を受けた山川は「そこでスイッチがバチッと入って。ホームラン100%に変えたのはそこからです」と、自身の考え方を変えたという。その後、山川は同日に行われた楽天戦で3打席連続ホームランを放ち、その後の後半戦でもホームランを量産。長距離砲として一気に台頭したのだ。
その中で期待された2018年はキャリアハイの活躍を見せる。打率.281 47本塁打 124打点を記録。初のホームラン王に輝いた。パ・リーグで40本塁打は2011年の西武・中村 剛也内野手(大阪桐蔭出身)以来。しかし、ソフトバンクとのクライマックスシリーズ(CS)・ファイナルステージでは、16打数3安打6三振で打率.188にとどまった。そのため、チームは日本シリーズに出場がならないまま敗退した。
翌年の2019年も序盤からホームランを量産した。5月12日の日本ハム戦でジョニー・バーベイトから本塁打を打ち、100号本塁打を達成した。通算321試合目での100号到達は、1987年の秋山 幸二の351試合を上回る日本人史上最速記録。しかし、交流戦後は調子を落とすことになる。その後4番の座を中村に譲ると以降の試合では1試合を除いて4番に戻ることはなかった。最終的には43本塁打を記録して2年連続のホームラン王を獲得した。
その後2020〜2021年は不調に終わっていたが、2022年に復活を遂げた。ホームラン王と初の打点王を獲得。まだまだ調子の波が激しいが、来年も主砲として期待される。
帝京高校時代の松本 剛
日本ハム・松本 剛外野手(帝京出身)は2022年シーズン首位打者を獲得した。ブレークのきっかけを本人はこう話す。「特にタイミングをしっかり取れるようになったんです。それによって自分のタイミングで入っていける打席が増えました。それが大きかったです」と好調の理由をコメント。飛躍の理由はほかにもある。「バットの存在も大きいです。僕はあまりバットを変えるタイプじゃなくて、2015年ごろからほとんど長さ、重さ、形を変えていなかったんです。ところが、去年の5月ごろからグリップを太くしたバットを使い始めて、すごく技術とマッチしました」
きっかけはヤクルトの山田 哲人内野手(履正社出身)、村上 宗隆(九州学院出身)のバットが太いグリップだと聞き、試してみた。そのときバットを握った感触がフィットした。以前は長打を欲しがり、グリップは細く、トップバランスのバットを愛用してきたが、発想がガラリと変わった。
考え方からバットの選び方まで変えたことが飛躍につながったことがわかる。
今シーズンは、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に選ばれる可能性もあるだろう。さらにシーズンでも2年連続首位打者にも期待していきたい。
(記事:ゴジキ)