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天性的な打撃センスで代表の正捕手の期待が高まる森友哉

2022.11.06

天性的な打撃センスで代表の正捕手の期待が高まる森友哉 | 高校野球ドットコム
西武・森友哉

藤浪晋太郎との強力なバッテリーで初の春夏連覇を果たした大阪桐蔭時代

 2012年の大阪桐蔭(大阪)は、藤浪 晋太郎投手(阪神)と森 友哉捕手(西武)を軸に夏の甲子園で一度もリードを許さず、相手を寄せ付けない力の差を見せつけた。

 援護する打線は、数字的な意味で派手さはないものの、西谷浩一監督が「高校までに見てきた中で、一番いいバッター」と評価していた森が一番に座る。初回から森に打席が回ることも、相手には大きなプレッシャーになっただろう。

 この年の大阪桐蔭は選手個人の力が高いことがわかる。当時の藤浪や森のプレーを見ると、プロ野球選手が高校生と一緒にプレーしているように見えた。

 そのため、甲子園の戦いは初戦から決勝までパーフェクトに近いものだった。甲子園の観客も、大阪桐蔭が凄すぎるが故に、静かに見守るしかない、といった様子だった。

 この優勝から大阪桐蔭は、甲子園で「勝って当たり前」と見られる常勝チームになったと言っても過言ではない。

 ちなみに森や中田 翔内野手(巨人)や浅村 栄斗内野手(楽天)といった大阪桐蔭出身選手は、高校時代から短期決戦の戦い方や勝ち方に慣れている印象が非常に強い。そのため、国際大会や短期決戦で苦労せず、上手く対応していきながら活躍している場面が多いように思う。

 特に、これまでの国際大会を通して見てみると、高校野球で近年安定して甲子園で上位にまで勝ち進む力がある大阪桐蔭出身の選手は、中田や浅村、森といった選手を含めて高校時代から短期決戦の戦い方に慣れている可能性は高く、勝負どころでの力の入れ方が上手い選手が多く、難なく国際大会や短期決戦で活躍している場面は多い。

 このように、短期決戦への勝負勘の良さや集中力の高さが、ここ一番の勝負強さや国際大会などの活躍に繋がっているのだろう。

打撃センスは球界で見ても歴代捕手の中でもトップクラス

 森は2010年代後半から球界を代表する捕手になったと言ってもいいだろう。特に、2019年シーズンは捕手という負担のかかるポジションながらMVPと首位打者を獲得。高校時代から注目されていた打撃センスを生かして、球界屈指の打撃型捕手として西武のリーグ2連覇に大きく貢献した。

 この年は巨人・坂本 勇人内野手(光星学院出身)やソフトバンク・柳田 悠岐外野手(広島商出身)のように、足の上げ方を従来のように大きく上げたり、すり足にすることや二段階にしたりと、その打席の対戦投手やタイミングによって変えている場面がしばしば見られる。フォームを崩されてもヒットゾーンに落とせたり、長打にもできる打撃技術やミートポイントのバリエーションの多彩さは、現段階でも球界トップクラスだ。

 大阪桐蔭時代から類稀なるミートセンスを誇っていた。そのため、ルーキーイヤーから2軍戦で打率.341、5本塁打を記録し、1軍でも打率.275、6本塁打、15打点、 OPS.945という、高卒1年目という括りで見るとハイレベルな成績を残した。

 2年目は主に指名打者で出場し、初の規定打席到達。5年目のシーズンは捕手としてベストナインを獲得し日米野球に選出され、打率.385を記録。そして6年目の2019年に、捕手として史上最年少でシーズン100打点やOPSリーグ1位、首位打者、MVPを獲得してリーグ優勝に大きく貢献した。その後は故障などがあり、長打力は下がったものの、要所で見られる勝負強さは健在だ。さらに、守備面でも安定感が増しており、打撃型のイメージが強いため、過小評価されている部分もある。

 今後は、シーズンを通したパフォーマンスを維持するためのコンディションの調整力はもちろんのこと、戦い抜くための耐久性を向上させていくことが、ワンランク上の選手になるためのレベルアップへのポイントとなっていくだろう。

(文=ゴジキ)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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