試合レポート

川口市立vs川越東

2022.09.18

川口市立が終盤一気の逆転で試合を物にし初戦突破!

川口市立vs川越東 | 高校野球ドットコム
上村俊平(川口市立)

<秋季高校野球埼玉県大会:川口市立4-2川越東>◇17日◇1回戦◇県営大宮

 秋晴れの中、埼玉県の県大会が始まった。シード校は花咲徳栄浦和学院昌平山村学園の順で選ばれた。県営大宮球場のオープニングゲームは、夏ベスト8の川越東対夏スタメンに1、2年生が6人入るという若いチームながらベスト16に進出した川口市立との一戦である。

 スタメンでは、川越東の前の試合からの変更点はこの日1番に篠原隆寛(1年)が入る。前の試合1番の千葉が7番に入り、前の試合7番の竹野谷敬作(2年)が8番に入る。

 一方の川口市立、夏以来の取材となるが、上位打線を中心に夏のメンバーが5人残っている。鈴木煌磨(2年)、石橋汰希(1年)の1、2番は健在。夏1年生で4番を打っていた主砲・西澤剛(1年)は現在3番、4番には夏5番を打っていた古澤新次(2年)が座る。

 先発は川越東が右サイドの名取由晃(2年)、一方の川口市立も右サイドの上村俊平(2年)と両エースが登板し試合を始める。

 先制したのは川越東であった。

 2回裏、この回先頭の小島湊(1年)が四球で出塁すると、続く石川了雅(2年)がきっちりと送り1死二塁とする。2死後、8番・竹野谷啓作(2年)が右翼席へ2ラン本塁打を放ち川越東が2点を先制する。

 川越東は3回裏にも、この回先頭の篠原が死球で出塁すると、続く山中悠生(2年)がきっちりと送り1死二塁とする。さらに、3番・首藤諒祐(2年)の三遊間寄りの遊ゴロを遊撃手が二塁へ悪送球し1死一、三塁とする。続く稲田匠(2年)のところで、ベンチは一走とのエンドランを仕掛ける。二塁のタイミングは微妙であったが結果併殺に倒れ、追加点を奪えない。

 川越東のエース名取は初回から毎回のようにピンチこそ招くが、後続を切り得点を与えない。

 一方の川口市立投手陣も、先発上村は2ランこそ被弾したが、その後は4回まで無失点で切り抜けると、5回からは2番手に左腕の飯出裕己(1年)が登板し、3イニングを無失点で切り抜け、2対0のまま試合は8回を迎える。

 8回表、川口市立は先頭の鈴木が三塁線を破る二塁打を放ち出塁すると、続く石橋がきっちりと送り1死三塁とする。ここで4番・西澤が二塁強襲の適時打(記録は右前適時打)を放ち1点を返すと、続く古澤のところで暴投の間に一走・西澤が一気に三塁を奪い1死三塁とする。2死後、5番・篠田大成(1年)が左前適時打を放ち2対2の同点とする。

 これで勢いに乗った川口市立は最終回も1死から8番・新井が三塁強襲安打を放ち出塁すると、2死後、一走・新井が二盗を決め2死二塁とする。ここで川越東ベンチが動き1番・鈴木を申告敬遠で歩かせるが、暴投で2死二、三塁とチャンスが広がる。ここで2番・石橋が中前2点適時打を放ち、ついに4対2と逆転に成功する。

 投げては8回から登板した長身右腕の宇田川健(1年)が川越東打線をきっちりと抑えた川口市立が終盤逆転し、4対2で勝利し初戦を突破した。


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名取由晃(川越東)

 川口市立の終盤の逆転劇は見事であった。何と言っても旧チームからの経験値を生かした打線がウリだ。特に主砲・西澤を中心とし、ここぞの爆発力がある。投手陣も早めの継投で相手打線をかわし的を絞らせなかった。

「粘って終盤まで持っていけたのが大きな勝因かなと。どうにか守って2点で済んだので。3、4巡目勝負で後半はスライダー狙い。継投は5、6人考えていた」(鈴木監督)

 勝ち方としても最高の形で大会のスタートを切った川口市立。今大会の台風の目となるか。

 この日、川越東の名取はよく投げていた。だが、打線は2点を先制後、3回のチャンスを逸すると、その後はなかなか追加点が奪えずズルズルと行ってしまい、自らの首を絞めるような展開となった。

「3点目を奪えなかったのが全て。3点目を取れなかったことで、打ち急いで慌ててしまって自分達のバッティングができなかった。この布陣でベストだなというところまで行かずに秋を迎えてしまった。後半守りきれなかった。ピッチャーを見殺しにしてしまった」(野中監督)

 「回を追うごとに変化球が抜け始めた」(名取)と、共に反省の弁を述べた。この状況を考えると、経験者を含めたシャッフルが考えられる。特に夏の経験者が攻守に精彩を欠いたのは気がかりであった。8回表の西澤の二塁への打球だが、二塁手は深く守り1点はOKの守備位置。もちろん打球は速かったのだが、本来持っている守備力を考えても、体で止めてほしかった。

 その後の暴投も捕手が最初から全力で追っていれば、一走を一気に三塁まで行かせることはなかったはず。終盤はいずれも夏の経験者が失点に絡んでしまった。この悔しさを、春以降に生かしてもらいたい。こんなものではないはずだ。

(取材=南 英博

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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