海星vs天理
海星が守り勝ちで「サッシ―」4強以来46年ぶり夏2勝
宮原 明弥 ※写真は過去の取材より
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<第104回全国高校野球選手権大会:海星4-2天理>◇12日◇2回戦◇甲子園
長崎海星(長崎)が完全な「守り勝ち」で天理(奈良)に勝利した。
2点リードの8回2死満塁。フラフラと上がった打球を、甲子園の観客が固唾をのんで見守った。長崎海星の二塁手、161センチの背番号14が真後ろに上がった打球を追いかけ、最後はバックハンドで真後ろにジャンプ。打球がグラブに収まり、大歓声に包まれると同時に、殊勲の峯 蒼一郎内野手(2年)が右手で力強くガッツポーズした。落とせば同点となる場面。峯は倒れ込みながらも、球は絶対に離さなかった。
初戦に続き、代打の代わりの「守備固め」として、この回から守備についていた。チームの勝利のために自分の役目を果たして見せた。
2回には中堅手の河内 夢翔外野手(3年)が真後ろの抜けそうな打球を最後はダイビングキャッチ。抜ければ2点入る場面を救った。9回も1死二塁で、右翼手の牧 真測外野手(3年)が右翼線へのファウルをフェンスギリギリで捕球した。
今年春夏連続出場の強豪天理を2点に抑えた。先発の向井 恵理登投手(3年)が8回途中2失点。1回戦完封勝利の宮原 明弥投手(3年)が2死満塁の大ピンチでリリーフして無失点の好投と、2人の強力投手陣の活躍はもちろんだが、「ザ・キャッチ」を演じた守備陣がいなければなしえなかった。
長崎海星の夏2勝は、怪物と呼ばれ話題を振りまいた「サッシ―」こと酒井 圭一氏を擁して4強入りした1976年以来、実に46年ぶりとなった。
天理はあと1本、いや数センチで勝利を逃したのかもしれない。8回2死満塁で、峯の後方に打球を放ったのは、主将の戸井 零士内野手(3年)だった。2回にセンターに好捕された打球を放ったのもまた、戸井だった。2回は2死一、二塁。8回の2死満塁に加え、4回にも2死満塁のチャンスで三塁ゴロに終わっていた。3度の好機にいずれも倒れた主将としての悔しさは計り知れない。あと少しずれていたらと思ってしまうが、これもまた野球なのだろう。このままでは終われない戸井の今後の野球人生を楽しみにしたい。
(記事=浦田 由紀夫)