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打撲への対応と合併症

2022.04.22

打撲への対応と合併症 | 高校野球ドットコム
ふくらはぎへの強い打撲は適切な応急処置とともに、合併症のリスクも頭に入れておこう

 野球は人との直接的な接触が少ないノンコンタクトスポーツに分類されますが、例えば守備中にフェンスとぶつかったり、打席内でデッドボールを受けたりして打撲を生じることがあります。筋肉が損傷したものを筋挫傷(きんざしょう)と言いますが、打撲直後から強い痛みと腫れが見られ、だんだんと周辺部に拡がっていきます。多くの場合、腫れは翌日から数日で最大となり、その後次第に軽快していきます。皆さんができる打撲への対応と合併症を理解しておきましょう。

●患部を安静、冷却、圧迫、挙上=RICE処置
 まずは当たった部位を中心に氷などをつかって冷却します。この時に伸縮性のあるバンテージなどで軽く圧迫を加え、心臓よりも高い位置に挙上した状態を保つようにするとより良いでしょう。この一連の動作(患部の安静、冷却、圧迫、挙上)を英語の頭文字をとってRICE処置と呼びます。RICE処置を行うのは患部がこれ以上腫れないように血流を抑えるため。冷却せずにそのままにしておくと、当たった部位だけではなくその周辺まで組織内で出血がひろがり、元の状態に戻るまでにより多くの時間がかかるためです。この時に「湿布で代用できますか」という質問をよく受けますが、湿布では血流を抑制するための冷却が不十分であり、内出血を周囲に拡がらないようにするという点では氷をつかった方が良いと考えられます。当たった部位にもよりますがおよそ15~20分程度かけて、痛みが冷たさ、そして感覚が鈍くなるところまで十分に冷やしましょう。打撲した当日、翌日は繰り返し行います。

●気をつけたい打撲の合併症とは
《骨化性筋炎》
 大腿部の打撲で筋肉内に血腫が残っていたり、まだ痛みがあるのに適切な対応を行わずにそのまま筋肉を酷使していたりした場合、打撲後しばらく(数週間程度)してから筋肉内やその周辺にカルシウム沈着による骨性の組織が現れることがあります。激しい痛みや可動域制限を伴うこのような症状は骨化性筋炎と呼ばれます。しこりのある筋肉を強くもむようなマッサージ、痛みがある時点での無理なストレッチも骨化性筋炎の原因となるので注意が必要です。骨化性筋炎は打撲に対する不適切なケアがもたらす長期的な合併症と位置付けられています。

《急性コンパートメント症候群》
 打撲によって患部の腫れや組織内の出血が起こりますが、程度がひどくなると他の血管や神経などを圧迫し、まれに組織が壊死(えし:細胞が死んでしまうこと)してしまうことがあります。特にふくらはぎ、大腿部などにみられるこの症状を急性コンパートメント症候群(コンパートメントとは区画のこと)といいます。急激に腫れてきたとき、我慢しがたい強い痛みやしびれが伴うときは早急に医療機関を受診し、適切な処置を受けることが大切です。

文:西村 典子
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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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