News

センバツから「継続試合」を導入、近江・多賀監督「歓迎したい」

2022.02.18

センバツから「継続試合」を導入、近江・多賀監督「歓迎したい」 | 高校野球ドットコム
近江・多賀章仁監督(過去の取材より)

 日本高野連は18日、定例の理事会をオンラインで開き、今春の第94回選抜高校野球大会から全国大会で継続試合を導入することや、新しい金属製バット、顎ガードつきヘルメットの使用などについて審議し、承認された。その後、都道府県高野連の理事長・専務理事会議(オンライン)でも説明された。

 継続試合は雨に泣かされた昨夏の第103回全国高校野球選手権大会で降雨ノーゲームが相次いだことなどもあり導入へ向けて課題を詰めた上で、急ピッチで検討が重ねられてきた。
今回の決定は春夏の甲子園大会と軟式選手権大会についてで、明治神宮野球大会と国民体育大会(国体)は今後主催者が取り扱いを決める。

 また、都道府県高野連や各地区高野連主催の大会(春・秋の都道府県大会と地区大会、夏の選手権地方大会、軟式選手権地方大会と地区大会など)は、都道府県高野連の実情に応じて採用するか様子を見るかを決められるようにした。

 昨夏の甲子園では近江(滋賀)vs日大東北(福島)や明桜(秋田)vs帯広農(北北海道)がゲーム成立前にノーゲームになり、大阪桐蔭(大阪)vs東海大菅生(西東京)はゲーム成立後にコールドゲームとなった。同様のケースが起きた場合、今回の決定では、全て中断した時点(状況)から翌日以降にゲームが継続されることになった。

 昨夏の甲子園で降雨ノーゲームを経験した近江の多賀章仁監督は電話取材で「(決定を)歓迎したい」とコメント。ノーゲームとなった試合では1番打者の井口遥希内野手(3年)が大会第10号本塁打を放ったが、結果的に幻となった。今回決まった継続試合では、全国大会での降雨ノーゲームによる幻の本塁打はなくなる。

 多賀監督はノーゲームになった当時を振り返り、「雨で中断した時に、今日は雨が上がる予報なので長めに待ちますと言われた中で、結局ストップとなった。継続試合となれば、早めに明日(続きを)やりますと言えると思う。甲子園という特別な舞台に出ていますし、生徒の気持ちの持ち方という部分でも良いと思います」と話した。

 今春センバツに出場する鹿児島大島(鹿児島)は、昨秋の九州大会1回戦(対大分舞鶴)で、延長10回終了4対4で降雨引き分け再試合を経験した。翌日、球場を変えて行われた再試合を3対2で勝利したが、再試合は1回から行われたため、結果的に他校より1試合分多くなってしまった。

 塗木哲哉監督は「投手の球数制限(1週間500球)のこともありますので、継続試合が決まったことは良かったと思います」と電話取材で歓迎のコメント。実際に降雨コールド引き分け再試合ではエース大野稼頭央投手(2年)が1日目に186球。1回からスタートした2日目は160球を投じた。導入される継続試合(地方大会はそれぞれの実情に合わせて判断)になると、2日目の投球数を大幅に減らすことが期待できる。

 今回の決定では1試合トータルの公式記録では全投球数が記録されるが、継続試合の場合は1週間500球以内の定義にあてはめると、1日目に何球、2日目に何球と日ごとにもカウントされる。勝ち上がって継続試合が1週間にかかってきた場合は、1日目、2日目の順で累計投球数が引かれることになる。

 塗木監督は、「仕切り直しは仕切り直しでのゲームの面白さがあると思いますが、大会を通じてということを考えると、どうしても投手が連投するなどいろんなことを考えたときには、生徒に無理をさせなくてもいい。そこが一番ではないかと感じています。あとは、前日の続きからというのも分かりやすいし、運営する側も(試合を早く)止めやすいと思う。雨の中で濡れながらプレーする生徒たちのことを考えれば、早く止めてくれた方がいいのではと思います」と話した。

 さらに、「どこで試合を止めるのかは(展開的に)難しい部分があるかもしれない。お互いにとって良いタイミングで止めてくれれば最高ですよね」と仮に継続試合になった場合を想定した上でコメントした。鹿児島県大会や九州大会でも継続試合をどうするかは今後協議されることになる。

 高校野球にとって大きな改革。雨の影響を受けないことが一番だが、昨夏の経験を生かしてまずは1歩踏み出した。

(電話取材:松倉雄太)

[page_break:高校野球特別規則の継続試合の部分]

<高校野球特別規則の継続試合の部分>

22. 継続試合の取り扱い
高校野球ではサスペンデッドゲーム(規則 7.02)は適用せず、天候状態などで球審が試合の途中で打ち切りを命じた場合は、継続試合として翌日以降に試合を行う。

(1) 各大会での運用は以下の通りとする。
硬式…選抜高等学校野球大会、全国高等学校野球選手権大会では、継続試合を採用する。
明治神宮野球大会、国民体育大会では両大会の大会規定による。
春季・秋季都道府県大会、春季・秋季地区大会、全国高等学校野球選手権地方大会については、主催者が大会前に参加校へ周知したうえで継続試合を採用することができる。
軟式…全国高等学校軟式野球選手権大会では継続試合を採用する。
国民体育大会は同大会規定による。
春季・秋季都道府県大会、春季・秋季地区大会、全国高等学校軟式野球選手権地方大会については、主催者が大会前に参加校へ周知したうえで継続試合を採用することができる。

(2) 継続試合の対象は以下の通りとする。
天候状態などで球審が試合の途中で打ち切りを命じた場合は、行われた回数に関係なく、翌日以降に勝敗を決する(通常は9回、延長回ならびにタイブレークになった場合も含む)まで継続して試合を行う。

(3)継続試合の運用は以下の通りとする。
① 試合が停止した個所から再開する。
② 両チームの出場選手と打撃順は、停止したときと全く同一にしなければならないが、規則によって認められる交代は可能である。
③ 停止した試合に出場し、他の選手と交代して退いた選手は継続試合に出場することはできない。
④ 継続試合の前には、確認のためオーダー用紙の交換を行う。
(a)試合が停止した時の出場選手をオーダー用紙に記載する。
(b)出場選手以外の登録選手は控え選手欄に記載する。なお、停止した試合に出場し、他の選手と交代して退いた選手については、名前の上に二重線を引く。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.05

【関東】常総学院、花咲徳栄などが関東大会進出!5日の山梨準決勝で出場校がすべて決定!

2024.05.05

【春季埼玉県大会】花咲徳栄9回一挙5得点!山村学園のプロ注目左腕・西川を攻略し逆転で関東大会へ!

2024.05.05

【岩手】花巻東が第1代表掴む!大船渡、盛岡中央などが敗者復活戦で代表<春季地区予選>

2024.05.05

【福井】福井工大福井がサヨナラ勝ちで5年ぶり優勝!敦賀気比を破って北信越大会出場も決める!<春季県大会>

2024.05.05

【群馬春季大会】樹徳が10年ぶり関東大会出場!バッテリーが勝利の立役者に!

2024.05.01

春季大会で頭角を現した全国スーパー1年生一覧! 慶應をねじ伏せた横浜の本格派右腕、花巻東の4番、明徳義塾の正捕手ら入学1ヶ月の超逸材たち!

2024.04.30

大阪大などに卒業生を輩出する進学校・三国丘  文武両道を地で行く公立校は打倒・強豪私学へ「何かしてやりたい」

2024.04.30

【岩手】宮古、高田、久慈、久慈東が県大会出場へ<春季地区予選>

2024.05.01

【神奈川】関東大会の切符を得る2校は?向上は10年ぶり、武相は40年ぶりの出場狙う!横浜は6年ぶり、東海大相模は3年ぶりと意外にも遠ざかっていた春決勝へ!

2024.04.30

【山口】宇部鴻城が西京を下して7年ぶり優勝!<春季大会決勝>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.21

【兵庫】須磨翔風がコールドで8強入り<春季県大会>

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>