学校創立140年超&偏差値73の進学校・水戸第一 主将が実践する文系科目の勉強法
学校創立140年を超える歴史を持ち、偏差値73という伝統校かつ超進学校という2つの肩書きを持つ茨城県立水戸第一。野球部は昨年の秋季大会では県大会2回戦で姿を消してしまったが、春は県大会4強、夏は8強入りを果たした。
茨城県内のみならず、全国を見渡しても文武両道を貫くチームに分類できる水戸第一だが、こうした地位をどうして確立できるのか。選手たちが普段からどういった工夫を凝らして学校生活、そして勉強に取り組んでいるのか。
文系が得意だという主将である中山晃靖内野手に、文系の勉強方法を中心に話を聞いた。
中山晃靖:チームの主将。5段階で評定平均3.4程度。将来は教員を考えており、筑波大へ進学して教育を専門に学びたいと考えている。
ノートは贅沢に見開きで使え
中山晃靖主将
――高校生活2年間を文武両道という視点で振り返るといかがですか
中山晃靖(以下、中山):学校の方針としては勉強を大事にしているので、部活の優先度は少し下がっているのがほとんどです。しかし、野球部として強豪私学に勝つために毎日練習をしているので、自分は普段7:3くらいの感覚で、部活に力を注ぐようにしてきました。
――普段の勉強はどうされていますか
中山:授業をしっかり聞くようにして、そこできちんと理解することで、周りから遅れないようにしています。あとは移動中に単語帳を開くようにして勉強時間に活用しているだけで、自宅では普段野球ノートを書く時間などに充てているので、あまり勉強できていないのが現状です。
――普段の生活はどのように過ごされていますか
中山:5時半には起床して、始発の電車に乗って学校に6時50分到着です。それから勉強をして7時半ごろから朝練をやって学校生活が始まります。
授業は午後4時頃まであるので、それから練習を4時半ごろに始めて、8時に下校。9時に帰宅してからは食事やお風呂。リフレッシュに時間を使って、深夜0時までには就寝です。なので、勉強するのは基本的に学校だけにしています。
中山晃靖主将の1日の過ごし方
――授業中の過ごし方で大事にしていることがあれば、教えてください
中山:先生が板書されることはもちろんですが、大事にしているのはちょっとした雑談を聞き逃さないことです。
テストに直結するわけではありませんが、文章を理解するためのヒントをちょっとした小話ですることがあるんです。そういったヒントをしっかり聞くことが、あとで大事になるので、ノートにメモできるように集中して参加しています。
――ノートの取り方に関して、気を付けていることはなんでしょうか
中山:古典に関しては、見開きでノートを使って、上のページには古文を書きます。次の文章との行間を2行空けることで、スペースに現代語訳と説明を書けるようにしています。この時、色ペンを使い分けながら、先生の雑談や動詞・助動詞などをわかりやすくします。
その他の板書の内容に関しては、下のページの方に書くようにして、使い分けています。
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[page_break:野球と同じで繰り返すことが近道]野球と同じで繰り返すことが近道
中山晃靖の古典の授業用ノート
――文系科目といえば暗記ですが、コツなどはありますか
中山:野球の練習と同じで、数をこなしていく。反復をするしか方法がないと思っています。
その上で、自分の場合は基本となる大事な部分をしっかりと覚えたうえで、そこから問題演習、特にテスト前はたくさんやるようにします。
――そのようにして暗記する理由は
中山:問題演習をやっていかないと様々なパターンの問題を経験できないので、解法を覚えることができないんです。それだとテストに対応できないので、問題演習にたくさん触れるようにしています。
それと同時に、重要な単語について調べて書き出すことで基本をしっかり作るようにしています。
――解き方を丸暗記してしまい、応用が利かないケースもあると思うが、そこへの対策などはありますか
中山:1つの問題からいろんな視点で考えて、正しい答えを導き出すなど、問題を解答する過程で、様々な角度から考えてみること。あとは問題で出てくる単語に関連する言葉を覚えて引き出しを増やすなどして、応用ができるように心がけています。
中山晃靖主将
――2学年先輩には、現役で東大に合格した方がいると思いますが、勉強方法を参考にしたり、刺激になるところはありますか
中山:勉強方法を教わったわけではないですが、帰りの方向が同じだったので、電車で見かけることが何度もありました。単語帳を開いたり、テストが近づけばプリントを見ていたり、隙間時間でも勉強をしている印象がありました。
あとは卒業される際に「バットをペンに持ち変えるだけ」とメッセージを自分たちに下さったのが心に響いて、刺激になっている部分です。
――将来はどんなことをやりたいか教えてください
中山:将来は教師になって、水戸第一に戻ってきたいと思っています。大学では教育系の勉強をやりたいので、一番は筑波大で4年間勉強できればと考えています。
普段の練習からやってきたことを、そのまま勉強に置き換える。こうした意識をもって、中山主将は文武両道を現在も貫いている。東大に進学した先輩の言葉を借りるのであれば、「バットをペンに持ち変えるだけ」ということだ。
それを実行に移すのはもう少し先だが、バットとペンの両方を手にして、中山主将が今後も活躍することを楽しみにしたい。
(記事:田中 裕毅)