【都市対抗】JR東日本東北のサヨナラ劇は履正社出身のルーキーから!甲子園の悔しさを社会人の全国舞台で晴らした
高校時代の大西蓮(履正社出身)
<都市対抗野球:JR東日本東北 7-6 NTT西日本>◇3日◇2回戦◇東京ドーム
信じられないミラクル劇を実現させた。JR東日本東北(仙台市・東北第1代表)が9回4点差を跳ね返すサヨナラ劇でベスト8に進出した。2対6で迎えた9回に4安打と3四球で4点を奪うと、最後は左翼への犠飛でサヨナラ勝ち。JR東日本東北ナインがホームベース付近で歓喜の輪を作った。
ひとりの代打がチームに勇気を与えてミラクルが実現した。9回先頭打者が安打で出塁した後、2四球で無死満塁と絶好のチャンスを迎えた。打席に入ったのは代打のルーキー、大西 蓮外野手(履正社出身)だった。弱冠19歳。今年から入社したばかりの打者が大役を担った。183センチ、90キロと大柄の若者は、しかし緊張することなく、自分の打撃を貫いた。初球の直球を積極的にスイングしてファウル。低めのボール球も見極めるなど、落ち着いていた。そして中前へ鋭い打球を放って1打点をマークした。3対6。1点を返しただけだったが、ルーキーの奮闘に、ベンチが盛り上がらないわけがなかった。後続が続いて一気の逆転勝ち。同点のホームを踏んだのが、大西でもあった。
2019年夏甲子園。履正社(大阪)は決勝で星稜(石川)を下し初優勝を飾ったが、背番号18でベンチ入りしていた大西に出場のチャンスは1度もなかった。しかし2019年秋、履正社新チームの5番右翼としてスタメン出場するなど、近畿大会ベスト4。準決勝では優勝した天理に1点差の惜敗だったが、大西は4打数2安打1打点と活躍した。自信をもって、20年センバツで暴れるはずだった。しかし、まさかのコロナ禍…。失意のセンバツ中止と夏大会中止に見舞われた。たった1試合、甲子園でプレーすることが許された「交流試合」では、星稜と対戦。5番右翼でスタメンも1打数無安打、2四球、2死球と中途半端に終わった。悔しさを胸に秘めて社会人へと進んでいた。
入社1年目、今年6月の日本選手権予選では初戦で敗れたが勝負強さを発揮していた。大西は4点ビハインドで迎えた9回に代打で出場し、右前安打をマーク。チームは敗れたが、本人は自信を持ち、ベンチもルーキーの勝負強さを感じていたに違いない。初の全国舞台となった都市対抗。初の打席で反撃ののろしを上げる代打適時打を放ち、今度は勝利をもたらした。高校時代にできなかった全国舞台での輝きは、かけがえのない1勝を生んだ。