Interview

関東大会でノーノー達成!下町の中学軟式屈指左腕・八津 快洋「『あの舞台』で勝てる投手に」

2021.12.03

 東京の下町・葛飾区に、高校野球の舞台で活躍が期待される好左腕がいる。葛飾区立水元中軟式野球部の八津 快洋(やつ よしひろ)投手だ。身長182センチの長身左腕で、この夏は創部以来初となる全国中学校 軟式野球大会出場へ牽引。関東大会初戦の常盤平中戦ではノーヒットノーランを達成した。今年の中学軟式野球界屈指の左腕は、どんな野球人生を歩んできたのだろうか。

「恩師」の前でノーヒットノーラン達成

関東大会でノーノー達成!下町の中学軟式屈指左腕・八津 快洋「『あの舞台』で勝てる投手に」 | 高校野球ドットコム
八津 快洋(水元中)

 三つ上の兄(八津 雅治さん、春日部共栄)の影響で幼稚園のころから野球を始め、小学校の時は地元・葛飾区の金町ジャイアンツに所属した。4番で内野手と投手を務める安藤佑太とは、小学生の頃から同じチームで、ともに都大会優勝、全国大会出場を経験した。

 投手を始めたのは小学2年生のころ。八津のキャッチーボールを見たコーチに勧められて挑戦することを決意した。「バッターを抑えるのが楽しかった。思いっきり投げて三振をとった時が気持ちよかったです」と当時を笑顔で振り返る。八津の投手人生は、このようにしてスタートした。

 中学も兄が所属していた水元中軟式野球部への入部を決意した。「すごくいい練習をするチームという話を聞いていたので、自分もその環境で野球がしたいと思いました」。他の硬式クラブなどとも迷いはなかったそうだ。

 水元中では一つ上の代が部員3人しかいなかったため、中学2年生の頃からチームの主軸として試合に出場していた。そして中学3年の夏には都大会で準優勝を果たし、関東大会の初戦、常盤平中戦ではノーヒットノーランを達成した。

 八津は「(相手の)常盤平中のコーチが今まで自分たちが教わっていたコーチで、自分は特にピッチングを教わっていた。その方に結果を見せることができたので、それが一番よかったです」と振り返った。捕手を務めた長谷 和樹も「圧巻でした。真っ直ぐでしっかり押すことができたので、逆方向へのファウルが多かったです」と語る。特別な試合で最高のパフォーマンスを発揮し、勢いに乗った。

[page_break:『あの舞台』で勝てる投手に]

『あの舞台』で勝てる投手に

関東大会でノーノー達成!下町の中学軟式屈指左腕・八津 快洋「『あの舞台』で勝てる投手に」 | 高校野球ドットコム
八津 快洋(水元中)

 そして準々決勝では南犬飼中を破り全中出場を決める。決勝戦ではこれまで2度敗れてきた上一色中との雪辱戦だった。「全員が『リベンジだ』という気持ちで、絶対勝つという気持ちでやっていました」。試合は勝利し見事リベンジを果たしたものの、八津は終盤に打ち込まれ、自分の投球ができなかった。

 兼子 典行監督は「帰りの車で悔しくて泣いてました。それを活かすんだと全国までの間もずっと努力していました」とその日の八津の姿が印象的だったという。

 全中では最終回に逆転を許し、初戦で敗退した。八津は最終回、球数制限等でマウンドを降り、最後まで投げ抜くことができなかった。それでも「(ZOZOマリンスタジアムという)素晴らしい環境で試合ができてとてもよかったです。いろんな方々から声をかけていただき誇りに思います」と胸を張る。

「初戦で負けてしまったので、高校では『あの舞台』で全国大会に出るようなレベルの高いチームに勝てるピッチャーになりたい」。そんな決意で卒業までは、後輩の練習に交じって、ともに汗を流している。

 今の最速は7月の都大会で出した129キロ。それ以来、計測していないが、自身も「伸びている」と成長を確信している。自分自身の持ち味については「強い真っ直ぐを投げられるところ」と力強く語った。長谷捕手は「ピンチの場面でも余裕を持って、三振が取れるところです。関東大会でも一死二、三塁のピンチの場面に三振2つで、ピンチを切り抜けました。そういう場面での投手力というか、総合的なところが強いと思います」と八津の投手としての実力を称える。

 八津自身も真っ直ぐと膝下に落ちる変化球のコンビネーションで「三振が奪える投手」というピッチングスタイルは、高校野球の舞台でも変えずに戦っていく決意があるようだ。

 まずは「体を大きくしたい」と語った八津。中学での悔しさを胸に高校野球の舞台では「全国で勝つ投手」になることができるか。活躍が期待される。

(記事:藤木 拓弥

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.08

慶應義塾が15安打12得点で強打健在も投手陣に不安 先発小宅は5回途中で降板【香川招待試合】

2024.06.08

慶應義塾は昨夏甲子園優勝バッテリーがスタメン!初回から4番・江戸 佑太郎の1発などで3点を先制!【香川招待試合】

2024.06.08

夏の神奈川に集った逸材野手20人! 横浜、東海大相模、桐光学園を中心に全国トップレベルが揃う【神奈川注目野手リスト】

2024.06.08

昨年春夏甲子園出場・北陸の卒業生進路 エースは筑波大へ! 早速公式戦で上々のデビュー

2024.06.08

慶應義塾が四国王者の高松商、英明に連勝!!<香川招待試合>

2024.06.04

神村、鹿実の壁を破れ! 国分中央は「全力疾走・最大発声・真剣勝負」で鹿児島の頂点を狙う

2024.06.08

慶應義塾が15安打12得点で強打健在も投手陣に不安 先発小宅は5回途中で降板【香川招待試合】

2024.06.05

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在36地区が決定、徳島の第1シードは阿南光!第2シードに池田!<6月5日>

2024.06.06

大阪桐蔭が選抜ベスト8の阿南光ら4チームと対戦!<招待試合>

2024.06.04

【東北】5日に抽選!秋春連覇がかかる青森山田、雪辱期す仙台育英と明桜の対戦相手に注目<地区大会組み合わせ>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.21

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在33地区が決定、岩手では花巻東、秋田では横手清陵などがシードを獲得〈5月20日〉

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得