最速140キロの隠れた逸材 快速右腕・古賀涼平(佐賀商-日大)が示す準硬式野球の可能性
日大・古賀 涼平
最速140キロの快速球を投げ込むフォームは、とにかくバネを感じる。腕を鞭にようにしならせながら鋭く振り抜き、跳ねるように投げる。見ただけで「運動神経が良いんだろう」と感じさせる。
173センチ、67キロと小柄ながら、背中の「18」番は体格以上に大きく逞しく見える。そんな好投手が、なぜ準硬式にいるのかと驚かされる。
東都大学準硬式野球連盟の1部リーグに所属する日本大学。準硬式野球界屈指の強豪として知られる強豪は、秋季リーグで惜しくも優勝を逃した。9月に開催された清瀬杯大会は、新チームで挑みベスト4まで勝ち上がるも、優勝には手が届かなかった。
来シーズンこそ優勝へ。清瀬杯、秋季リーグを糧に巻き返し図る名門のエースも、「来年こそはと思ってチーム一丸で戦いたい」と誓った。
2年生エース・古賀 涼平(佐賀商出身)は最終戦となった専修大戦で先発。9回1失点で完投勝利。今シーズン4勝目を飾り、エースの責務を果たした。
縦横使い分けるスライダーで打ち取るときもあれば、「好打者、大事な場面ではギアを入れ直しました」と6、7割にセーブしていた真っすぐを全力で投じ、全国準優勝校を力でねじ伏せた。
高校時代は2年生の時に夏の甲子園に出場。3年生の時にはエースとして佐賀商の看板を背負って戦った。そんな実績ある投手は、どうして準硬式に飛び込んできたのか。
「大学でも野球をやることは決めていても、3年生の春に肩を怪我したこともあって硬式で続けていくか悩んでいました。そんな気持ちで進路を考えている時に先輩たちのことを調べたら準硬式を知りました」
その様子を見た時に「楽しそうだな」と感じた古賀は、準硬式で継続することを決心した。
硬式と違い表面がゴムであり、なおかつ軽い。ピッチャーであればアジャストするのに苦労するところだが、古賀はむしろメリットがあった。
「腕がスムーズに使えるようになって、怪我に対しての不安がなくなりました。指先のかかり具合も、良い時の感覚が戻ってきました」
ボールが軽いからこそ負担が減り、怪我をかばうことがなくなった。その結果、腕が振れるようになり、古賀は再び輝きを取り戻した。
首脳陣からもエースとして、春以降も期待されるのはもちろんだろう。そんな期待に応える活躍をし続けることは、高校時代に怪我で苦しんでも、準硬式でもう一度活躍できることを証明することにもつながるはずだ。
準硬式だからこそ持つ可能性、メリットを、快速球を投げ続けることで示してほしい。
(記事:田中 裕毅)