試合レポート

修徳vs都立小山台

2021.07.30

息詰まる投手戦 修徳・佐藤サヨナラ満塁弾で終止符!修徳・床枝奪三振15の力投

 試合開始前から雨が降り続ける中で、シード校の都立小山台とノーシードから勝ち上がってきた修徳の一戦が行われた。都立小山台はシード校ながら、福嶋 正信監督が「厳しいヤマでした」と言うように、成立学園都立文京堀越と、強豪との対戦が続くブロックに入っていた。

 そのブロックを勝ち抜くために、1人の投手に負担をかけるのでなく、始めから継投を意識した投手起用になった。この試合の先発は、堀越戦に続き2年生の松川 侑聖だ。松川は、球速は130キロ台半ばといったところだが、多彩な変化球を駆使し3回を被安打2,奪三振3の力投で、修徳打線に得点を許さない。

 修徳は絶対的なエースである床枝 魁斗が先発した。床枝はこの前の日大豊山戦では制球を乱したが、「自分が悪い時は、頭が突っ込み、タメが効かない」と自ら分析し、中1日で修正してきた。1回表都立小山台の1番・濱口 隼には四球を出したものの、後の3人は抑えた。

 特に東京を代表する強打者である4番の森村 輝に対しては、144キロ、145キロ、144キロと立て続けに速球を投げ込み三振に仕留めた。一番の強打者に速球をみせつけたことで、床枝の投球に幅ができた。2回は変化球も織り交ぜ都立小山台打線を翻弄し、三者三振に仕留めた。

 都立小山台の松川も好投していたが、4回からは2番手の佐藤 克哉にスパッと切り替えた。佐藤は5回裏に申告敬遠も含め3四死球を与えたものの、修徳の7番・八木 大地の右飛併殺もあり、得点を許さない。

 6回裏修徳の攻撃は、一死後2番・19645が中前安打、3番・床枝が四球で出塁したところで、都立小山台はエースの木暮 瞬哉を投入。木暮は4番・佐藤 大空を左飛、5番・芦川 晴基を右飛に打ち取り得点を許さない。

 一方修徳の床枝の投球もますますさえわたり、9回を終わった時点で奪三振は14を記録していた。決め球も速球あり変化球ありの自由自在である。


 試合は両チーム得点がないまま延長戦に入ったが、延長戦が始まる前に雷鳴が響き、試合は一時中断。試合再開後、延長10回表都立小山台は2つの四球で一死一、二塁となったところで、今度は稲光があり、またも中断。「あの中断はありがたかったです。床枝も整理をつけて、マウンドに向かってくれました」と荒井 高志監督は語る。再開後はこの試合15個目となる三振を奪うなど、得点を許さず、試合は10回裏修徳の攻撃を迎える。

 この回修徳は四死球2個で二死一、二塁とし、3番・床枝は遊ゴロ。ここで、好守備で幾多のピンチを救ってきた都立小山台西田 宗弥が失策。満塁となった。打席には4番の佐藤。満塁の初球の鉄則の通り、ストライクゾーンに入った球を叩くと、打球はレフトスタンドに突き刺さり、サヨナラ満塁本塁打となって息詰まる投手戦は、劇的な幕切れとなった。

 「打たれたのはスライダーです。真ん中より外目に投げるつもりが甘く入ってしまいました」と木暮は語った。満塁となったところで、もう一呼吸空けられなかったか、とは思う。それでも、これは打った佐藤が見事であったことは間違いない。そして木暮が、「西田は責められない」と言うように、満塁の場面を作る失策をした西田もまた、立派な戦いぶりであった。新チームは先発して好投した松川ら中心に、どんなチームになるか楽しみである。

 床枝は1年の秋に公式戦デビューを果たしたが、その時はただ大きいという感じだった。この2年で、体もガッチリし、精神的にもたくましくなり、本物のエースの風格が出てきた。次は東京ドームで関東一との対戦になる。「自分たちは、関東一を目指してやってきました。やっと土俵に立つことができます」と床枝。歴史的な東京ドーム開催に相応しい好勝負を期待したい。

(取材=大島 裕史

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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