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聖カタリナ学園、小松の「2強」を打ち破るのはどこなのか?!愛媛大会展望

2021.07.10

 第1シード・聖カタリナ学園の春夏連続甲子園初出場か。第2シード・小松の7年ぶり2度目の甲子園か。それとも悲願の夏甲子園初出場を目指す第3シード・新田なのか。一方、20年ぶり27度目の「夏将軍復活」を期す第4シード・松山商や、群雄割拠のノーシード勢の動向はいかに……。

 7月10日(土)11時から愛媛県松山市の[stadium]坊っちゃんスタジアム[/stadium]で開会式。その後、7月26日(月)10時に同じく[stadium]坊っちゃんスタジアム[/stadium]で開催される決勝戦まで55試合の熱戦が繰り広げられる「第103回全国高校野球選手権愛媛大会」。今回は7月7日に締め切られた大会登録最終エントリーデータを基に、ブロックごとに注目選手を挙げながら大会を展望していきたい。

第1シード:聖カタリナ学園ブロック

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櫻井 頼之介(聖カタリナ学園)

 最速145キロ右腕・櫻井 頼之介(3年・171センチ60キロ・右投右打・尼崎ボーイズ<兵庫>出身)や、すでに高卒プロ志望を表明している強打強肩の4番・川口 翔大(3年・遊撃手・右投左打・175センチ75キロ・松山中央ボーイズ出身)に、春以降の成長が著しい小澤 武門(3年主将・三塁手・右投右打・172センチ72キロ・稲城リトルシニア<東京>出身)など、タレントぞろいの聖カタリナ学園にノーシード勢が挑戦する構図。その筆頭格は秋山 拓巳(阪神タイガース)がエースだった2009年以来、12年ぶり7回目の甲子園を目指す西条であろう。

 西条は6月13日(日)の練習試合・松山聖陵戦でセンター方向にライナー性で叩き込む驚愕の先頭打者本塁打を放つなど、18本まで高校通算本塁打を伸ばしている尾﨑 颯汰朗(3年・中堅手・左投左打・180センチ74キロ・新居浜市立川東中出身)や、夏の復活が期待される背番号「10」の最速140キロ右腕・真鍋 透徹(3年・右投左打・187センチ85キロ・新居浜市立川東中出身)ら、こちらも将来性あふれる選手が多い。

 このブロックには実力校の松山北や、周囲の評判も高い2年生右サイド・伊藤 颯太朗(右投右打・179センチ74キロ・今治市立南中出身)や、その今治北と対戦する松山東の俊足2年生・芥川 壮太郎(中堅手・右投右打・168センチ65キロ・松山市立北条南中出身)など注目選手たちが控えるが、順当にいけば西条が準々決勝の位置まで進みそうだ。

 なお、ここには昨年県独自大会優勝の松山聖陵もいるが、今年は荷川取 英明監督も「まだまだです」と話すように、戦力的にはやや苦しい。昨年からのレギュラーである土井 康生(3年主将・遊撃手・右投右打・167センチ59キロ・広島廿日市ボーイズ<広島>出身)を中心に、まずは昨年の独自大会で小松を抑え込んだ江口 勝飛(3年・右投右打・175センチ74キロ・四国中央市立土居中出身)がいる新居浜商との初戦に全力投球したい。

第4シード:松山商ブロック

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松﨑 来雅(松山商)

 松山商松﨑 来雅(3年・左投左打・169センチ73キロ・ヤング倉敷ピーチジャックス<岡山>出身)、安藤 塁(3年・右投右打・180センチ81キロ・松山城西ボーイズ出身)の左右両輪と山本 英貴(3年・捕手・172センチ71キロ・松山中央ボーイズ出身)のリードが軸。ここに加え「相手を見て戦えるようになった」と主将・平岡 拓朗(3年主将・二塁手・右投右打・173センチ72キロ・八幡少年クラブ<広島・軟式>出身)を認める就任2年目・大野 康哉監督の野球を体現できるようになったことも大きい。

 ただ、彼らの緒戦は東予vs吉田の勝者。特に吉田の最速141キロ左腕・三好 巧真(3年・左投左打・172センチ72キロ・西予市立宇和中陸上部出身)は、公式戦初戦で打ち崩すことは容易ではない。逆に言えば、ここで勝ち抜くことができれば一気に突き抜ける可能性もありそうだ。

 ただ、このブロックは曲者ぞろいである。背番号「3」ながら右腕で投げ下ろす迫力を有する樫原 晃樹(2年・一塁手兼投手・183センチ82キロ・松山中央ボーイズ出身)や、春にブレイクした向田 歳(3年・二塁手・右投右打・176センチ72キロ・宇和島ボーイズ出身)ら、ポテンシャルあふれる逸材が腕まくりする済美や、開会式で選手宣誓の大役を務めることになった山本 宙(3年主将・二塁手・右投右打・168センチ67キロ・西予市立三瓶中出身)、「コツコツ努力した成果が出ている」(清水 隆弘監督)大型遊撃手・松下 健琉(3年・右投右打・182センチ76キロ・えひめ西リトルシニア出身)が注目の八幡浜もいる。

 さらに1年夏から試合出場経験を持つ選手たちが最後の夏を迎える今治北大三島や、「リアルドカベン」こと、兵頭 英斗(捕手・右投左打・177センチ135キロ・宇和島ボーイズ出身)が2年生主将を務める大洲農や、春の県大会出場の東温なども上位進出を狙っていく。

[page_break:第3シード:新田ブロック]

第3シード:新田ブロック

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古和田 大耀(新田)

 大激戦ブロックと言っていいだろう。まず[stadium]坊っちゃんスタジアム[/stadium]での開幕カードは、超攻撃的2番・池田 竜太朗(3年・中堅手・右投左打・175センチ78キロ・松山リトルシニア出身)をはじめとする強打線を有する今治西と、最速139キロの佐久間 柊希(一塁手兼投手・右投左打・173センチ66キロ・宜野湾ポニーズ<ポニー・沖縄>出身)、最速137キロの富盛 大翔(171センチ68キロ・右投右打・安仁屋ヤングスピリッツ<沖縄>出身)ら1年生も輝きを見せる松山学院との直接対決がある。

 この勝者は、高校通算25本塁打&最速139キロの「投手兼捕手」古和田 大耀(3・右投右打・176センチ92キロ・松山中央ボーイズ出身)が「夏の甲子園に出て歴史を変えたい」主将として率いる新田と対戦する。古和田の他にも近平 侑甫(3年・二塁手・右投左打・175センチ77キロ・愛媛松山ボーイズ出身)、新納 蒼大(3年・左翼手・右投右打・183センチ87キロ・松前町立岡田中出身)など長打力を誇る打線が機能するか。ここが緒戦大一番のポイントとなりそうだ。

 さらにここには名将・澤田 勝彦監督が高校野球監督采配集大成を迎え、県内屈指の右長距離砲・西本 拓真(3年・三塁手兼投手・右投右打・181センチ78キロ・えひめ港南リトルシニア出身)を擁する北条、21世紀枠四国地区候補校選出理由の1つである「考える野球」を前面に押し出す川之石。2年生中心ながら伝統の力健在の宇和島東らも控える。

 そして帝京第五がいる。練習試合ごとに球速を伸ばしNPB全12球団から注目を集める最速145キロ右腕・田中 怜利ハモンド(3年・右投右打・189センチ78キロ・東板橋リトルシニア<東京>出身)ばかりでなく、二塁送球2秒を切る強肩を持つ山崎 太陽(3年主将・捕手・右投右打・190センチ79キロ・羽村リトルシニア<東京>出身)、投手としての能力も高い小嶋 建吾(3年・中堅手兼投手・左投左打・170センチ70キロ・弥刀東ボーイズ<大阪>出身)などタレントたちの力が融合できれば、このブロックを一気に突破することも十二分に可能だ。

第2シード:小松ブロック

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越智 海斗(小松)

 攻守にバランス高き小松の力が頭1つ出ている。投手陣は最速145キロ・古本 裕大(3年・右投右打・179センチ74キロ・今治市立大島中出身)、最速140キロ・越智 海斗(3年・右投右打・177センチ72キロ・今治市立大三島中出身)の右腕2枚が安定。俊足の福島 未来翔(3年・二塁手・右投左打・175センチ66キロ・えひめ西リトルシニア出身)をリードオフマンに置く打線も穴がない。

 その小松を追うのはスプレーヒッター・鈴木 琉斗(3年・遊撃手・右投右打・171センチ75キロ・伊予三島リトルシニア出身)が主将としてけん引する川之江、潜在能力は高い北宇和など。中でも昨秋県大会4位の丹原は昨秋右ひじクリーニング手術を受けた最速138キロ右腕・永井 滉大(3年・右投右打・176センチ77キロ・西条市立丹原東中出身)の完全復活がなれば、小松の対抗馬になれる存在である。

 今大会は新型コロナウイルス感染拡大防止策を徹底した上で、有観客で開催する予定。昨年、聖地到達への権利すら与えられなかった球児たちの無念を少しでも晴らし、高校生たちへの夢を次につなぐためにも、私たちは改めて感染症拡大防止へ最大限の努力を進めていきたい。

(文=寺下 友徳

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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